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064. つないだ手
はぁーっ!
「大分寒くなりましたね」
白い肌を浚に白くしアレンは両手に息をかけ少しでも温めようと擦り合わせた。
慌てて宿を出たためいつもは忘れることのない手袋を置いて来てしまったのだ。
冷えた青空の元雪が降るとまではいかないが冬間近の空気は、防寒具無しの素肌には堪えた。
「そうか?」
前を歩く黒髪の青年は怪訝そうにアレンを見たあと、フッと唇を歪めた。
「やっぱモヤシだな」
「な?!神田の感覚がおかしいんです!」
「いーや、おまえがひょろいからだな」
「むぅ…本当に失礼な人ですね。…神田は手冷たくないんですか?」
ふて腐れたように言えば、キョトン、とした表情のあと神田は自分の手を見つめ数回握った。
「…普通?」
「はぁ?!なんですかその曖昧さ!僕が調べます」
「うわ!モヤシ何しやがる!」
「わ、神田の手、あったかい」
ばっ、と伸ばし掴んだ手は冷えたアレンに心地よい温かさをじんわり、と伝えた。
冷えた手にその温もりが嬉しくてアレンは離すまいとギュッと握る。
「…冷てぇ」
「まぁまぁ」
「テメェは本当に…」
苦々しい表情と溜息は諦めた証拠。
ふふ、と内心笑いながら、甘えるように少しだけ大胆に指を絡めた。
この手のぬくもりをもう少し多く味わうために…。
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手袋忘れたりは絶対しないとは思いますが…。
指絡ませあうってエロスを感じますね(←)
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