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097. 手書きの文字




「なんだこれ?」

その日神田はいつもの如く教団の近くで鍛練を積んでいた。
もうそろそろ帰ろうか、というときに足元に一枚の紙が飛んできて引っ掛かる。

思わずつまみ上げ、くしゃくしゃのそれを広げた。

「??」

筆か何かで書かれたのであろうそれは滲んでいるとかそんな理由ではなく本当にミミズが這っているような文字?で解読不可能。

「ガキの落書きか?」

とりあえず自分の練習場にゴミを置いとくのは許せないのでしぶしぶポケットに押し込んだ。

「あ、お帰りなさい神田」

入口前でモヤシと出会う。こいつはいくら無視しても人とコミュニケーションをとろうとしてくる、今までなら無視さえしていれば相手から何もしてこなくなるというパターンに慣れている神田にしてみれば扱いづらい相手の一人で、思わず舌打ちが出る。

「うわぁ…挨拶がわりに舌打ちですか…;」
「嫌なら話し掛けなければいい」

そういって横を通りすぎようとした。

「あ、何か落ちましたよ」
「あ゛?」

それは先ほど森で拾った紙。

「落ちてた紙だ、意味不明なものしか書いてねぇ」
「………神田、本当にこれ読めてないんですよね?」
「は?お前はその文字(?)がよめんのか?」

紙を広げて固まったモヤシにあの文字?が解読できたのかと近寄る。

「あ、いえ、読めはしないんですが、中々個性的なものだと思いまして…」

アレンの答えに、なんだ、と肩をすくめる。

「俺はいらないから、やる」

そういって教団の中へと神田は消えた。



「はぁあ〜良かったぁ〜」

神田が完全に見えなくなったところでアレンは紙を広げ直す。
そこに書いてある文字はアレンが『日本語』をみながら練習したもの。

『神田、好きです』
という凄く簡素なラブレター。






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ザ・有りがち★
珍しく神←アレ。



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