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063. 薄氷



はぁ〜っ息を吐けばたちまち白い蒸気となり拡散していく。
その様子が楽しくなりアレンは吐いても白く無くなるまでそれを繰り返す。

「楽しい?」

様子を眺めていたラビが笑いを堪えながら聞いて来た。
子供(ガキ)だなぁ〜なんて思っていたに違いない。

「楽しいですよ、これ見たら『冬になった』って気がしません?」

ニコッとラビに振り返りながら、もう一度、はぁ〜っと大きく息を吐く。

「ガキめ」

ラビが笑って答えようとした時背後から、ハッという嘲笑と共に声がかけらた。

「ユウ、お帰り〜連絡すんだ?」
「あぁ、とりあえずイノセンスは回収したから急ぎの任務も無いし一旦戻れだとよ」

ラビに答えつつギラリと睨み、いい加減名前で呼ぶのやめやがれ、と六幻を突き付けてみるが、わかったわかった、と降参のポーズのラビ。

一回本気で切ってやろうか…

確実に面白がっているラビに不穏な考えが頭をよぎる。

先ほどの台詞は離れていた為かアレンには届いていなかったようでアレンは神田と口論になることなかった。

「ラビ、神田、見てください!」

嬉しそうに上気した顔でアレンは二人を手招く。

「「?」」

とりあえず招かれるままアレンの元へ。

カシャッ−小さな音が足元から響く。

「見てください、昨日の雨で溝に溜まった水が霜で凍ってるんです」

足元を見れば小さく割れた氷の欠けら。

その間も次々と薄い氷を見つけては喜々として割っている様子に呆れた様に溜息をはく。
ラビと思わず目があいアイコンタクト。

『『ガキ』』

二人の思考が一致したことを確かめる術はないがきっと同じことを思ったはずだ。

「お〜、俺も割る〜!」

横にいたラビが、せっかくだし、とニカッと笑い勢いよくアレンの元へ向かい、ジャンプしたのが見えた。

「あーっ!それ僕が割ろうと決めてたんですよ!」
「早いもん勝ちさ〜」

わいわい、ぎゃあぎゃあ、騒いでる二人を、どっちもガキだ、と疲れたように溜息をさらに一つ。

そんな様子を見守れるだけ、俺も丸くなったのか?
複雑な心境で空に息を吹き掛けた。
真っ白なそれは風に流されゆるり、と消えた。







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アレンが…な子で申し訳ない。
うちの神田は八割溜息を吐きます←

氷見たら割りたくなりませんか?(聞くな)



















あきゅろす。
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