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089. ピアス
談話室の片隅に白色と朱色がならんでごそごそしていた。
「しばらくそのままな〜」
「はい」
そのままと言われたアレンは耳たぶに氷をあてたまま大人しく待つ。
そこにトレーにカップを乗せ持ってきたリナリーが横に神田を伴い入って来た。
「あ、アレン君にラビじゃない、どうしたの?」
近くのテーブルにトレーを置き二人の側へと近づきアレンの耳へあてられたものを不思議そうに見る。
「氷?」
「はい、ちょっとピアスを開けようと思ってラビにお願いしたんです」
「ラビは器用だもんね」
納得、というように頷きアレンの前へと腰を降ろし楽しそうに笑う。
「リナリーこそ神田とどうしたんですか?」
「良い緑茶が手に入ったから試しに入れたの」
アレン君にも入れてこようか?と笑顔で言われれば断る理由などなくお願いします、と答えればリナリーは笑顔で椅子から立ち上がり談話室の外へと出た。
「今更開けんのか?」
神田が湯飲みに口を付けながら聞く。
「なんか気にいったのがあったらしいんさ〜」
アレンの代わりにラビが答え、もうそろそろいいかなぁ〜とアレンの耳たぶを触った。
神田の眉がピクっと跳ねるが誰も気付かない。
冷え具合を確かめ、大丈夫と判断したのか消毒済みの針を右手にもち、アレンの耳たぶを左手でつまんだ。
「そのままじっとしてろよ」
プツリっと針先が入り、思わず体を強張らせる。
「ちょっと待て!!」
一息に刺そうとした瞬間飛び込んだ声にアレンもラビも驚き声の主を見た。
「…俺がやる」
「え、ユウが」
憮然と言い放つ神田にラビとアレンは不安そうな視線を向けたが。
「いいから貸せ」
視線等気にする事なくラビから強引に針を奪うとアレンに上を向かせ耳たぶを掴む。
「痛くても泣くなよ?」
「泣きませんよ!」
「どうだか?モヤシだからなぁ」
「自信ないならラビに代わってください」
「はぁ?誰が自信ない何て言ったよ」
「はいはい、そんなんしてたら冷やした意味無くなるからさっさとするさ」
神田の言葉から始まったいつもの口喧嘩に呆れたようにラビは諭す。
触れられたくないなら素直に言えばいいのに…
本人が聞いたら、んなわけあるかッッ!と否定するであろうことを予想して口には出さずに二人を見守る。
「…じゃ開けるぞ」
「…お任せします」
ラビが開けかけた上に針先を合わせ神田は指先に力を込めた。
もっと雑に扱われると思っていたアレンは思わぬ丁寧さに息を飲む。
確かに感覚が戻りかけていたので正直ある程度の痛みはあったが掴まれている耳等への扱いは優しく思わず心臓が高鳴った。
針が抜かれたと同時に神田の端正な顔が近づき慌てる。
「なっ?!どうした…!」
んですか、と続くはずだった言葉は行き場を無くす。
開けられたばかりの箇所に、ねっとりと熱い感触と吐息が感じられ、ヒクッと喉が軋んだ。
「あっ…やぁ」
耳元で濡れた音が響きアレンはいたたまれなくなるが、じわじわと広がってゆく熱に躯は熱くなってきて…。
あ、やばいかも…
何度も繰り返される愛撫のような感触に感じてきてしまい口からは気を抜けば甘い吐息が出てしまいそうでアレンは目尻に涙を滲ませた。
口を自らの手で塞ごうと手を挙げると、ちゅくっという音を残し神田の唇が離れた。
「あ、なんで…」
舐めたのか…止めたのか…、どちらも含ませ潤んだ瞳で神田を見れば意地悪そうに笑った顔が見えた。
「血が出たから消毒だ」
唇から薄朱のついた舌を小さく出し平然という。
絶対!確信犯だッッ!
神田の纏う雰囲気に楽しげなものを読み取りアレンは睨み上げる。
そんな様子を見ながらリナリーがいなくてよかったさぁ…とあてられたラビはいささかぐったりしながら口を押さえた。
「…ところで肝心のピアスはどこだ?」
「あ、これこれ」
ラビが小さい紙袋を差し出し中の物を神田の手の平にコロンと乗せた。
「へぇ…」
「なんですか?」
乗せられたピアスを見、唇を緩ませた神田にアレンはおもしろくなさそうに問うが、なんでもねぇよとはぐらかされ、先程開けられたばかりの箇所に嵌め込まれる。
「お、似合うじゃん!」
な、ユウ?と同意を求めれば、悪くねぇな…と言われアレンは嬉しくなる。
「お待たせ、あ、もう開けちゃったの?」
アレンとラビのお茶を持って戻って来たリナリーがアレンの耳元をみた。
「わぁ、綺麗な黒曜石!アレン君似合うよ」
「ありがとうございます」
褒められたことに素直に笑ったが…
『神田の色ね!』
悪意なく続けて言われた言葉にアレンは固まり、ラビは吹き出し神田はどこか嬉しそうに笑った。
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ピアスで主張(笑)
このピアス見付けて神田を思い出したアレンさんを想像して萌えてました(勝手にしとけ)
舐める神田が書きたかったんです。うん。変態でごめん…orz
消毒はきちんとしないと…ですよ。
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