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004. 雨
「あ、雨」
突然降り出した雨に、急いで軒下へと避難した。
傘持って来なかったなぁ…。
しまった、という表情で鉛色の空を見上げアレンはため息をついた。
コムイさんに頼まれた買い出しを、何故か神田と一緒に行くことになり後少しで終わる、という時に雨が降り出して来た。
しかし、いつも不機嫌なかの人は今はアレンと一緒にいない。
アレンが商店街の品物に夢中の間に先に行ってしまったらしく離れ離れになってしまったのだ。
あぁ、絶対後で怒鳴られる、思わず頭を抱えてしまう。
「確かに食べ物に気を取られた僕が悪いんですけど…」
神田だって待ってくれてもいいじゃないか、と完全に八つ当たりとわかる台詞をはくアレン。
しかも立ち寄る店のリストは神田が持っているのでアレンはどこにも行けず、というより下手に動いたら迷子確実をわかっているのでどうすることも出来ないことがさらに気分を落ち込ませ再びため息。
さてどうしようか、と先ほどより雨足の速まった空を見上げかけた時
「テメ、このモヤシがッッ!勝手にいなくなるじゃネェ!」
怒号がこだました。
その声にビクっと首をすくませ恐る恐る目を向ければいつもより不機嫌な神田が立っていた。
「あは、は…スイマセン、でした」
徐々に声を小さくしながら気まずそうに頬をかく。
そんな様子を呆れたように見た後、ほらっと神田がアレンの目の前へとズイッと手を延ばした。
「え?」
目をしばたかせ神田の手に握られたものを見つめる。
「どうしたんですか?」
「どうしたもなにも…お前は濡れたいのか?」
「いいえ!雨でどうしようか悩んでたんです」
急いで神田が手渡してきたものを取る。
「ほら行くぞ」
「あ、待ってくださいよ!」
用は終わったとばかりにアレンに背を向け元来た道を歩き始めた神田にアレンは慌てて追いかけた。
黒と白、二つの傘が雨の中に咲いた。
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傘を渡す神田が見たかったので。
白と黒の傘って雨の中微妙ですが…;;
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