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018. 殺意




「死んでください」

何の前触れもなく、しかも爽やかな笑顔で言われたものだから、自分の聞き間違いかと耳を疑った。

「聞こえなかったんですか?」

ただその笑顔を見つめることしか出来なかった俺に対し、にっこり、そう…にっこりと笑顔を浮かべ『死んでくださいって言ったんですよ』と目の前の少年が再び口を開いた。
遠目で見ている者達からすればそんな物騒な事を言ってる等とは夢にも思わない笑顔で。

………。

ゴツッ!!

「ッッたぁッ!何で叩くんですか?!」
「あッッたりまえだ!テメェ何様のつもりだ?!ってかなんでいきなりんなこと言われなきゃ何ねェんだ?!」

とりあえず苛立った俺はモヤシの頭を六幻の柄で叩いた。俺の行為は尤もだと思うのだが目の前の少年は納得できない!という表情を張り付けたまま憮然としている。

「お前の為なら死んでもいい、の一言くらい言えないんですか?」
「………。」

一体何がどうなってこんな事になったのかさっぱりだ。
この少年の望む台詞を言ったところで解決するとは思わないが、こんな事にいちいち付き合うのも面倒なので一言。

『お前の為なら死ねる』

あぁ、自分の背中に鳥肌が立つのがわかる。

「うっわ、背中が痒くなりました!」

嫌そうに顔をしかめバッとモヤシは自分の背に手を回した。

コノヤロウ。
ぴきぴきと青筋がはしり、思わず拳を握った。

「話の流れでは切なくて泣くはずなのに…」

腕を組みながら、ぶつぶつとつぶやき自分の世界へ入り始めたモヤシに完全に置いていかれる形となる。

話?流れ?
なんの事かわからず首を傾げた。

そんな二人の横を書類を両手に持ったリナリーが通り掛かりアレンを見つけると立ち止まった。

「あ、アレン君、また続き読みたくなったらいつでも言ってね」
「はい、お願いします」

リナリーの一言でモヤシはこちらへと戻って来たのか、にこりとリナリーへ返事を返す。

「続き?」

何の事かわからずモヤシへと聞く。

「今リナリーから漫画を借りてるんです。『ザ☆殺し屋』」

………俺はどこに突っ込むべきだろうか?

固まった俺を意に介さず、知らずに好きになった人がターゲットで〜、だの恋仲なのに殺すなんて〜だの、最後は撃てなくて駆け落ちするんです、と説明してくれるモヤシ。

「でも…、同じ台詞でも現実だと全然違うんですね」
「…当たり前だろうが、心情や立場が違うんだから同じでたまるか」

呆れたように吐き捨てた。

もしも…とモヤシが先程まで纏っていた空気を変え神田をみる。

「…神田を殺すとしたら、殺し屋は僕ですよ?」

だからその時は殺されてくださいね、と笑った。

「…上等だ。ヤれるもんならヤってみろよ」



  殺すのも殺されるのも貴方がいい






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ちょっと病み?
リナリーの趣味が悪くてすいませ;




あきゅろす。
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