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暗い路地裏(カム沖)
バケツの水をひっくり返したような雨が容赦なく総悟を襲う。

隊服はびしょ濡れで栗色の髪の毛からは水が滴り落ちる。

沖『最悪でィ…』


こんな事になるんだったら傘を持ってくれば良かった。
そう思ってももう後の祭だ。



過保護な土方の怒る顔が頭に浮かぶ。
俺が濡れて帰ったらあの人は血相を変えて怒るんだろうな……

それだけは避けたい。
それにこれ以上雨に当たっていたら風邪を引いてしまう…
屯所もまだ遠いし…
こんな事ならサボらないで真面目に見回りしてればよかった…

総悟は小さく溜め息をつくと再び足を早めた。



総悟は近道をするために人通りの少ない道を通っていると正面に傘をさした人がポツリと佇んでいた。

この道は一般人が通る事は少ない。
だからここに人がいるのに疑問をもつ。
背丈も自分とあんまり変わらないから子供かもしれない。

一応警察だから話かけた方がいいかもしれない。

沖『こんな所で何してるんでィ』


『君ここの人?』

質問を質問で返されるのは流石に腹が立つ。

声はまだ幼いので子供かな?

沖『そうでさァ』


『ならさ真選組って知らない?』


沖『?』

え?
ならこいつは迷子か?
普通子供が真選組に用があるっていったら何かの悩み事だよな、きっと…

ていうか一応真選組の隊服を着ているんだけど…


これ以上雨に濡れたくないし一応自分も真選組だから案内した方がいいよな。


沖『着いてきなせェ。案内してやるよ』
子供に手を差しのべても動く気配がない。
それ所か俺の腰をずっと見ている。

え?
変態?

その考えも浮かんだがそれは違うらしい。
腰じゃなくて子供は刀を見ていた。

そんなに珍しいのか?
さっきも屯所が何処にあるのか分かっていなかったし…

田舎者かもしれない。

今だに動かない子供に苛立ちが募る。

こっちは早く帰りたいっていうのに…


沖『アンタ早くし』
『刀を持っているって事はお侍さん?』

総悟の言葉を遮って話す。


沖『侍だったら…!?』
侍だったら何なんでィと言い切る前に傘が総悟を襲う。

咄嗟の事に急いで鞘で防御するが呆気なくそのまま吹き飛ばされた。

沖『うっ!』

ドン!
体に壁が当たって短く呻き声を漏らす。

沖『てめぇ…』


文句の一つでも言ってやろうと子供の方を見ると

ピンク色の頭、チャイナ服、張り付けたような笑み、紫色の番傘。
いつも自分に突っ掛かってくる生意気な奴とキャラが被っている。


神『へぇ…いい反応だね』



面白そうに話ている子供を軽く睨みつける。

あの動きあの力強さ…

こいつただ者じゃねェ。

神『本当は殺すつもりだったけど気がかわったよ』

殺すという単語に反応する。

殺す?

俺が?

コイツに?

様々な疑問が頭の中を飛び交う。


神『本当は真選組も潰すつもりだったんけど今日は止めとくネ』

コイツ高杉の回し者か…

だったら見逃すわけにはいかない。
しかしさっきの衝撃で骨が何本か折れたらしく体が思うように動かない。

自分の不甲斐なさに腹が立つ。

神『君はもっと強くなりそうだ。だから君が強くなったら俺が殺してあげる』

コイツ本気で言ってる。
それは目を見れば一目瞭然だった。


神『俺の名前は神威。覚えておいてね』
沖『誰が…』


土『総悟ォォ』

遠くから俺を捜している声が聞こえてくる。
あぁ…もうこんな時間なんだ…


いつの間にか出ていた月が二人を明るく照らしだす。

神『お迎えが来たみたいだネ。』

チュッ

唇に柔らかい感触。
沖『ふぇ?』

いきなりの事で頭がついていかない。
間抜けな声が口から出た。


クスクスと笑っているピンク頭を凝視する。

え?何だこの甘い雰囲気は…
さっきまでのシリアスな感じは何処いった?


神『またね。総悟』

土方さんの声が大分近くなった時ピンク頭は俺に手を振って歩き出した。

本当は今すぐに殴りたいが生憎この体じゃアイツに勝てる気がしない。


もっと強くなりたい。
アイツに負けない強さを…


ていうか何でアイツ俺の名前を知っているんだ。


胸のドキドキは中々止まってくれない。


またアイツに会いたいな、という考えが頭の中に浮かぶ。
俺もそろそろ末期かもしれない。

口煩い上司が来るのを待ちながらずっとアイツの去っていった道を見ていた。


END








何か微妙な終わりかたですね(´・ω・`)

途中から何を書いてるのか分からなくなってきたorz

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あきゅろす。
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