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小説X
クリスマスツリー・ストーリー(X)

雪で真っ白くなった学園内の中庭では冷たくなった空気が充ちていた。
これは好都合だ。とばかりにその空気を肺いっぱいに吸い込む。
その冷たさが脳に届き、これから造り上げるものの全体像が描かれると同時に、白い吐息に乗せて吐き出して、右手の掌を前方に突き出す。

冷たい空気の中にある水分が徐々に形を成して凍り始める。
意識を研ぎ澄まし、作品に向き合う彼の前に現れて来たのは、氷で創ったモミの木。
天辺にはちゃんと星が付いている。

「―終わったぁ…!」

雪原と化した芝生の上に横たわり、ボビーは空を見上げた。

少し暗くなった空からは、昨日まで降り続いていた雪は舞い降りて来ない。

「雪が降ったら完成…なんだけどな。」

ため息として白い吐息を吐き出すと、途端に雪が降ってきた。

「―!」

彼は立ち上がり、目の前にある氷のクリスマスツリーに積もる雪を見た。

先程よりも更に美しさを増すツリーを見ながら、ボビーはその周りを駆け回った。

そして、何かに気付いた様子で立ち止まり、その人物がいる方向へ顔を向けると、笑顔で礼を述べた。

「マンロー先生、有り難う御座います!」


校舎のテラスからボビーの言葉を聞いていたオロロは柔らかく微笑んでいた。

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あきゅろす。
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