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新名旬平(肉球)


いつからか分からないけど、中庭には猫がいた。
たった1匹で昔はもっと沢山いたと聞いた。

「お前ひとりぼっちで寂しくないのかい?」

なんて、猫に話かけてる私の方が寂しいかもしれない。
3ヶ月前に見つけてそれから部活が終わった後にエサをあげるのが日課になった。
最初はなつかないし『可愛くないヤツ』とか言ってたのに、今じゃ毎日会いにきている私もどうかしている。

「さてと、もう行くね。また明日。」

にゃー

相槌をうたれているようで嬉しくなって抱き上げる。
少し茶色の強く、お腹は白い。毛足は長くないし、野良特有の毛の固さを持っている。正直猫っ毛って何だろう。

「お前、少し太った?」
「菜由先輩はちょっと痩せた?」
「っ!?」

後ろには同じ部活で1っこ下の新名旬平くん。

「先輩前のが気持ち良さそうだった〜」
「ちょ、何言ってるの!」
「女の子はちょっとぷにってしてるくらいが可愛いんだって!」
「女の子は痩せたいって思ってるんです!」

猫を懐に抱いている私の隣に、いつの間にかニーナくんが並んでいた。
横目で見れば私より高い身長のニーナくんが同じ、もしくは私より小さくなっていた。よく見れば私の胸にいるふかふかを構って楽しんでいるようだ。

「それにしてもよくなついてるね。この間俺の友達が触ろうとしたら引っ掻かれたって言ってたよ。」
「初めはね。私もなかなか慣れてもらえなくて2ヶ月かかったかな。」
「え、2ヶ月!?」
「あ…。」

2ヶ月も…正確に言うと3ヶ月通ったなんて恥ずかしくて言えない。

…のに

「さすが菜由先輩。小動物には弱いんだから。」
「もう、良いじゃない。可愛ければ良いの!」
「はは、怒った。先輩かっわい〜。」
「こら、年上はからかわないの!」

少し機嫌の悪くなった私は自然と頬が膨らんだ。
特に頬に空気を入れた訳ではないのに、頬がぷっくりした感じがした。…多分ぶすくれただけだろうけど。


ふにふにふにふに


イライラとともに猫の肉球を触る。
にゃーなんて抗議の声が聞こえたりもしたけれどおかまい無し。
なんか…和むかも。

「…気持ちい……」

小さな声でつぶやく。

「ほんとだ。」


ぷに。


「ちょっ!」

ニーナ君の人差し指が私の頬をつついた。
驚いて振り向けばしたり顔で見ている。

「肉球より気持ちいぜ。つるつるだしぷにぷにだから。」
「もー失礼な!」
「ははっ、怒った!」

至極楽しそうで、細められる目が猫みたい。
そんな彼の笑顔を見ていると怒ろうと思っていた気持ちもどこかへ行ってしまう。それでも悔しいから少しからかう。そうでもしないと先輩として威厳が保てそうもない。

「ニーナ君がもうちょっと小さかったらこの子みたいに可愛いのにな。」
「へぇ…それじゃあ小さかったらこいつと同じことしてくれんの?」
「ん…?」
「なんてな!」

ニーナ君は私から猫を取り上げると鼻にキスをした。そしてその場に下ろすと…


「先輩帰ろ?」


私の手をとり眩しい笑顔。

「うん。」

仲良く手を繋ぐなんて気恥ずかしい。


「先輩の手、気持ちいい。」
「猫じゃないですよー!」
「ん、猫なんかより温かくて、良い香り。」
「もう…」



「俺、先輩にメロメロかも



なーんちゃって!」



きゅっと強く握られた手は離れる事なく赤い夕日に向かってゆっくりと進んでいく。



小さな手と大きな手








テーマがおかしいのは許して下さい。
まだまだ3のキャラが掴めていない今日このごろ。
オチが見つからないまま不時着…←


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あきゅろす。
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