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ヘタレ+オタク=土方さん?



『ひ、土方さんが二重人格!?』


食堂で突如人格が変わってしまった土方さんに、私は驚きを隠せなかった。

日頃のストレスで、ついに頭が壊れてしまったのではないか。
と慌てる私に、沖田さんは呆れながらこう説明してくれた。



土方さんは呪われた妖刀を手にした事によって、ヘタレたオタク的部分が増長してしまった。しかしそれは一時的なもので、いつもヘタレたオタクの土方さんになる訳ではない。

土方さんの隙を見計らってたまに現れるらしい、ヘタレたオタクな土方さん。通称トッシー。

つまり、簡単に言えば、土方さんは『鬼の副長』と『ヘタレたオタク』の面を持つ、二重人格なのだ!




…って何ソレ!
超萌えるんですけどォォ!




ヘタレ+オタク=土方さん?






「名前たん、是非これを穿いてみてはどうかな?」

『あ…はぁ』

「ミニスカートの隊服にニーハイ。ちらりと見える絶対領域が堪らないんだよねーコレが」

『…』

「江戸の平和を守る一人の少女、名前たん。トモエちゃんさながら素晴らしいでござる!」



………ポカーン。

土方さんに呼ばれ、副長室に来た私は、口を大きく開けていた。いや、確かに先程超萌えるだとか言いましたけども。

でもさ、

本当に土方さんですか!?
土方さんの面影ないんですけど!



「おいオタク、なに俺の飼い豚にセクハラしてんでさァ」

『あ、沖田さん!…って、飼い豚ってなんですか飼い豚って!』

「飼い豚は飼い豚でィ。それよりオタク、さっき言ったこと聞こえなかったんですかィ?」

「あわばばば…!ぼ、僕は名前たんにセクハラなんかしてないでござる!ただ、ニーハイを…」

「ニーハイ穿かせるぐらいなら、名前たんを全裸にしてみろよ。ひ、じ、か、た、さん」

「ぜぜぜぜぜ、全裸!?名前たんが…ぜ、んら……プギャッ!」

『ひ、土方さん!?』



沖田さんの嫌味たっぷりな言葉に、土方さんが鼻血を噴いて倒れてしまった。

って何で鼻血!?ここから先あんまり考えたくないんですけど!でもえぇー!嬉しいかも!自分キモッ!



「なんでィ。もう終わりか。もっと虐めてやろうと思ったんだけどねィ」

『…沖田さん、今土方さんはトッシーな訳ですし、もう少しお手柔らかに出来ないんですか?』

「なに言ってんでさァ。だからこそ、だろィ」



そう言って沖田さんは、いつものサディストな笑みを浮かべて、部屋から立ち去ってしまった。

ほんと、容赦ないお人だ。私も被害を小さくする為日々精進しなければ。







―…








『ふぅ、一先ず完了』


鼻血を出して気絶してしまった土方さんを、誰かさんのように放って置ける事など出来ず、簡単な処置を済ます。

額に濡れタオルを置く際に、土方さんの寝顔にドキリと心臓が跳ねる。

土方さんの寝顔なんて、初めてみるな。いつもは瞳孔開いてて怖いけど、今はとっても可愛い。
こうして考えると、私は土方さんのことをあまり知らないかも。土方さんが二つの人格を持っていることだって、今日の今日まで知らなかったし。

沖田さんが言うには、私が居ない時に限ってトッシーが現れていたらしいけど。
でもそれって、それだけ私と土方さんが居る時間が少ないってことだよね?

なんか、寂しいな…。



「ん…アレ」

『あ、土方さん。お目覚めですか?』

「名前たん!な、ななななんでこんな所に…!」



起きるなり、私の顔を見てアワアワと慌てだす土方さん。この様子からだと、まだトッシーか。


『あの後土方さん気絶しちゃったんで、軽い応急処置をしたんです。身体大丈夫ですか?』

「ぼ、僕は大丈夫でござる!迷惑かけてごめんね?」

『迷惑だなんてとんでもない!当たり前の事をやったまでですよ』

「名前たんは優しいね……えへ」



…………ッ!!
なんだァァァ!最後の「えへ」って!私を萌え殺す気か土方ァァァ!チクショーー!

オタクでヘタレた土方さんも悪くないな、えへ。(…私が言ったら可愛くないなオイ)





―…






『いい湯だな、アハハハン。…アハハ、アハハハ、アハハハハハン』



ただ今私は、奇妙な歌を歌いながら脱衣所に居る。というのも、時間は早くも夜な訳で、乙女のバスターイムなのだ。(因みにお風呂は、住み込み女中さん専用のお風呂を使わせて頂いてます)


お風呂場へと繋がるドアを盛大に引き、広い浴場に足を踏み入れる。

やっほーい!独り占めだ独り占め!

早速シャワーを浴びながら鼻唄を再開。

いや〜、やっと長い一日が終わったぜ!しかし、今日は特に長かった。もう自分の仕事どころじゃなかったよ。



―…ガラガラ



突然、ドアを引くような音が聞こえ、鼻唄を一旦停止させる。女中さんかな?と思いつつも、なんだか嫌な予感が走った私は、ご自慢の素晴らしい聴覚で耳を澄ませる。



「ほら、早く入りなせぇ」

「あわばばば…!ダメだよこんなの!」

「俺が許可しまさァ。ほら、名前のタオルでも処女でも何でも貰ってきな」




………え、男?…男!?

てか、

アンタらなにやってんですかァァァ!!




END
20090527
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ピーンチ(笑)






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