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…それはヤバくね?


王子様と連れの女性がラブホテルへ入って行き、ただただそこに立ち尽くす私と土方さん。


『ひ、土方さん。これからどうするんですか…』

「どうするって……入るしかねーだろ」

『ぬえェェッ!?マジで入るんですか!?…じゃ、じゃあ土方さんだけでお願いします』

「なに言ってやがる。男一人でラブホテルなんぞに入れるか気持ち悪ィ」

『ということは私も入れってことか。…えっ!?土方さんとラブホ?!』

「デケェ声出すんじゃねーよ!!…ま、まあそういう事だな」


そう言って頭の後ろをポリポリと掻く土方さん。そういう事だなってオイ!!んなあっさりと…!!言っとくけどラ、ラブホテルなんか入ったことないんだからね!しかも初ラブホデビューが仕事ってどんだけ寂しい女なんだよ私は!

しかしここは立場上王子様を取り逃がすなんて事は許されない。いくら入る所が私に場違いな所でも、ドーンと突き進まなきゃこの仕事はやっていけない。そうよ、進むのよ名前!それに、これでミッションを成功させることが出来るんなら一石二鳥じゃん。よ、よし…


『土方さん、入りましょう』

「お、おう」


顔が強張る。真選組二人が顔を赤らめラブホに入るだなんてハタからみれば奇妙な光景であろう。ラブホの中に入るとまずは店内の装飾に驚かされる。ピ、ピンクだ…。壁がピンクだ…。口をあんぐりさせながら店内を進むと、王子様と連れの女性の姿を発見した。


「あいつらまだ部屋決めてんのか」

『ホテル初めてなんでしょうかね』

「だろーな、あんなにきょどりやがって。アイツ本当に男か?」

『…土方さんだって顔赤らめてたくせに』

「バッ…!!あ、あれはだなァ…」

『あっ、土方さん!王子様がっ!』


私達が下らない話をしている間に王子様は部屋を決めエレベーターに乗ってしまっていた。直ぐさま王子様が入った部屋の隣に部屋を決め、王子様の後を追う。




『ひっじかったさ〜ん』

「なんだ」

『土方さん、こんな趣味だったんですか…』


部屋に広がるハート柄。そしてハート型の浴槽にキングサイズのハート型ベッド。そう、私達が入った部屋はハート尽くしの可愛いお部屋だった。まじ帰りてー。


「馬鹿野郎、王子捕まえる為にこの部屋にしたんだろうが。ほら、お前五感良いんだろ、隣のやり取り聴いてくれよ」

『聴けって…耳澄ませて隣のやり取り聴く程聴覚良くないですよ』

「壁に耳宛てればいいだろ」

『あ、そっか』

「バカめ」


土方さんに軽く頭をどつかれながら、壁に耳を宛て全神経を集中させる。


「どうだ?」

『ダメです、全く聞こえません』


おかしいなぁ、壁ぐらいの厚さなら聞こえるはずなんだけど。壁が厚過ぎるのかな?


「てことは…、防音か?」

『防音?…あぁ、そうか。いやらしい声とか聞こえたら嫌ですもんね。土方さん頭冴えてるぅ〜』

「お前んな事サラリと言うなよ…。ったく余計なことに時間使っちまったぜ」

『…な、なんかごめんなさい。お役に立てなくて…』


土方さんの言った事が自分に当てはまっているように思え小さく謝る。五感が良いからって調子乗るもんじゃないな、ホント。


「…何謝ってんだ、調子狂う。別にお前のせいじゃねーよ」

『……そーですね、そーですよね!私なんにも悪くないしィ!悪いのは私を無理矢理ラブホに連れ込んだ土方だしィ!』

「おまっ、コロコロ態度変えやがって…!よーし剣を抜けェェ!」


王子様を確保することも忘れ、私と土方さんはハートまみれの部屋を駆けずり回る。マジなにやってんだ自分。あのイイ感じのムード自分で壊しちまったよコノヤロー!


「いい加減懲りろヘタレ芋娘ェェェェ!」

『ヘタレは土方さんだボーケ!沖田さん言ってたもんねー、土方さんはヘタレの塊だって。そんな奴はバズーカで吹き飛ばされろバーカ!!あひゃひゃひゃ』



ドカーーンッ!



『「うおっっ!?」』


いきなり部屋に大きな音が響き、それと共に巻き起こった爆風で私達二人はベッドの上へと倒れ込む。……本当にバズーカで吹き飛ばされたよ。なにこのタイミング。


「ごほっ…、なんだ、敵襲か!?」


もくもくと部屋に煙が立ち込め周りは何も見えない。これはやはり攘夷志士の仕業なのか…?もしそうであれば頼りになるのは身体の感覚だけ。今度こそ土方さんのお役に立てれるように………ってアレ?


『…ひ、土方さん』

「どうした、怪我でもしたのか!?」

『いえ、そんな事ではなくて。真に言いづらいんですけど…』

「なんだよ……ってえェェェェ!?」


言う前に気付いたか。説明しよう。ただ今の爆風でベッドに吹き飛ばされた私達二人。そして驚くことに、体勢は抱き合った状態で私が押し倒されている。そう、ハタから見ればラブホで愛し合っている男女二人にしか見えないのである。こんな体勢、攘夷志士とはいえど見られれば赤っ恥をかく。早くこの状態を…!!



― ピロリーン



「真選組副長、部下を無理矢理犯す写真ゲーッツ」


携帯のシャッター音と共に、普段聞き慣れた声が耳に入る。この声は攘夷志士なんかじゃない。これは…ま、まさか


「仕事中に部下を犯すなんて、土方さんもやりますねィ」


『沖田さん!?』
「総悟!?」



…それはヤバくね?




「これで副長の座は俺のもんでさァ」




END
20090211
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楽しくて仕方がない沖田さん。まだ続きます。




あきゅろす。
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