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人生は全て必然でできている


ただ今土方さんと市中見廻りをしている最中なのだが、沖田さんから無理難題を押し付けられた私はそれどころではなかった。土方さんを連れてラブホに入れだなんて無茶だ、無茶過ぎる!しかし沖田さんの指令を無視すれば地獄に堕とされることは確実。私の経験上120%決行されると言おう。

この前は土方さんに電気あんまをして来いというミッションに失敗し厠に閉じ込められたっけ…。しかも夜中に。なんでも体罰よりも精神的にジワジワ追い詰めることに最近ハマったらしい。ハマらなくていいから、ほんと。土方さんと二人っきりで見廻りだなんて滅多にないチャンスなのに…!沖田さんのバカァァア!!



「オイ名前、顔色悪ィぞ。大丈夫か?」


『大丈夫です、なんとか…ハハ』


「なんだ、また総悟に遊ばれてんのかァ?」


『遊ばれてるって何ですか!飽くまでこれはミッションなんです………あ』


「やっぱりな…、そうだと思ったぜ。お前らは俺に何の恨みがあるっつーんだよ。毎日毎日悪質なイタズラばっかしやがって」



そう言って煙草を吹かす土方さんの隣で私は軽く固まる。わ、私のバカァァァ!!なにカミングアウトしてんの!?土方さんにバレちゃったじゃん。うっわ〜どうしようコレ…。


そんな時、スカートのポケットに入っている携帯が振動し、慌てて携帯を取り出す。ん?メールだ。誰だろう……。



(新着メール1件)

from 沖田さん
sub RE:
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うんこ


    -END-



ギャアアアアア!!沖田さんじゃんか!怒ってる、絶対怒ってるよコレ!沖田さんの怒りが【うんこ】の文字に滲み出ている…。きっと【とっととラブホ連れ込んでヤれ貧乳】の意なんだ!遠回しに言ってるんだよコレ!

…ん?てか何でこんないいタイミングでメールが着たんだろう。ま、まさか私達をどこかから見てるとか!?いや、沖田さんなら有り得る。だって沖田さんだもん。てか仕事しろよ。

でも今はこんなこと言っている場合ではない!一刻も早くミッションを成功させなければ沖田さんに何されるか分からない。よし、気張っていくわよ名前!



『そういえば土方さん、人捜しって言ってましたけど誰捜してるんですか?』


「あァ、どこぞの国の王子様だとよ。ほら、コレ写真だ」


『へぇ〜、若いお方ですね。私てっきりデブのオジサンかと思ってました』


「ジジイが城から抜け出したりするかよ。まあアレだな、どうせ親とでも喧嘩したんだろ」


『思春期って難しいですよね〜』


「何が思春期だ、お前もまだ思春期のくせに」


『思春期はとっくの昔に終わりました土方コノヤロー。口を慎めクソ方』


「なんだテメェ!!次は反抗期に逆戻りかコラァァ!!」


『痛ッ!!』



土方さんのゲンコツが私の頭にヒットし激痛が走る。痛いィィィ!!マジで痛い、おー痛い。絶対にこの人容赦なくやったよ!



『な、何するんですか土方さんッ!さっきの絶対手加減なしでやりましたよね!』


「んな訳あるか。手加減大アリに決まってんだろ。少しは学習しろ」


『土方さんに怒られてばっかなので学習しようにも出来ません。……ってアレ?土方さん、あの人って…』


「あ"ァ?なんだよ」


『あの桜柄の着物の女性と歩いてるのって……例の王子様じゃないですか!?』


「ん、…どれだ?」


『50メートル先に居るじゃないですか!手を繋いだカップルが!』


「お前どんだけ目ェいいんだよ!!なに、お前マサイ族?!」


『んな訳あるかァァ!!私の五感舐めんじゃねーぞ!』



ハハハハハ、聞いて驚くなよ諸君。自慢じゃない…いや、自慢なんだけどォ、私は剣術は並だが五感は超人並なのだよ!どうだ、すごいだろ〜う。オーホッホッホ!!これから私の事は真選組の女王と呼びなッ!



「全然自慢じゃねーよ!!んな事言ってねーで早く追うぞバカ!」


『え、あ…ハイ!』



ヤベェ、心の声を口に出してしまったようだ。失態失態。…って今はこんな事を考えている場合ではない!王子様が見付かったんだ。土方さんのお役に立てるようしっかり着いて行かなければ!



「オイ、王子は今何処だ」


『あのスナックの角を左に曲がりました!王子はまだ私達に気付いてないようなのでこのまま後ろからガバッと!』


「あー分かった分かった、もういい。あの角左に曲がればいいんだな」


『はい!』



相手に気付かれないよう慎重に足取りを進め、2人が曲がった角を私達も曲がる。



「…ってオイ、居ねェじゃねーかよ」



土方さんの言う通り、そこは風俗店が立ち並ぶただの路地で、王子の姿は見当たらなかった。そ、そんなハズは………確かにあの2人はこの角を曲がった。この2.5の視力に誓おう。

私は全神経集中させ目を凝らしながら人ゴミを探る。



『あッ!土方さんアレ!』


「あん?何か見つけたか…って、え…マジ?」


『…マジです』



土方さんが驚くのも仕方あるまい。だって王子様、ラブホの前で顔赤らめちゃってるんだもん。

え、マジ?これから入るとか言わないよね?!…ってあ"ァァァ!!手ェ取り合って中入っちゃったよお二人さん!



『土方さん…』


「…なんだ」


『死にたい』


「…だな」



そんな彼等を見て、私達は何とも言えぬ空気に包まれたのだった。




 人生は全て
必然でできている




― ブルルルル


(新着メール1件)

from 沖田さん
sub RE:
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うんこ


    -END-


(勘弁してくれ沖田さん)


END
20090128
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次回は土方さんとラブホ突入!?ミッションは果たせるのか。





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