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上司の優しさには裏がある




ぽかぽか眠気を誘う午後、昼休憩中の私は縁側で昼寝をしていた。うあ〜…太陽の恵み〜。

人目を気にせず、体を大の字にして仰向けになる。うん、この方が日光を存分に吸収出来る。…って私は植物か!



「なにやってんですかィ?」



そんな光合成をしている私の前に現れたのは、呑気に駄菓子を食べながらニヤつく沖田さん。くそ、私の貴重な昼寝の時間を邪魔する厄介者が来た!

沖田さんは床に転がる私の上に立ちはだかると、またもや口角を上げる。ってちょっとオイ…、あんたのんまい棒の食べカスが顔に落ちてるって!!いだだだだだ目に入ったァァァ!!



『ちょっとォォォ!!何するんですかサディスト!!』


「んまい棒食べてるだけでさァ(サクサクサクサクサク)」


『うぎァァァッ!!カスが鼻の穴に…!!な、なんか鼻の中ムズムズするんですけどォ!!なんか出るなんか出るゥゥゥ!!』



鼻の中に入ったんまい棒の食べカスと格闘する私を見て面白くなってきたのか、沖田さんのんまい棒を食べるペースが一段上がる。

こいつ…分かってやってやがるなこんチキショー!!



「…テメーらなにやってんだ、こんな所で」



おっとォ!ここで救世主登場!!泣く子も黙る鬼の副長のお通りだいっ。



『ひ、土方さん…、助けて下さい!沖田さんの汚い食べカスが私の顔に…』


「はぁ…、ったく毎回毎回。いい加減飽きろよ」



大きな溜め息をつきながら、土方さんは私の手を引き状態を起こしてくれた。た、助かった…。

顔に付いた食べカスを払い、沖田さんを睨むと、不機嫌オーラを醸し出しておられました。



「なんでィ、邪魔しねェで下せェ土方さん」


「邪魔もなにもあるかァ!仕事中に遊んでんじゃねーよバカヤロー!!」



土方さんは眉に皺を寄せながら新しい煙草へと火をつける。どうやら沖田さんは仕事中だったようだ。やーいやーい怒られてやんの。



「ほら総悟、早いとこ見廻り終わらせるぞ」


「すいやせん土方さん、ちょいと用事を思い出したんで見廻りは名前と行ってくだせェ」


『「ハァ!?」』


「んじゃ、そういうことで」


沖田さんはそう言いながら手をひらひらさせた後、時速100キロ級の速さでその場から立ち去って行った。


残された私と土方さんは思考停止したまま暫く突っ立ち、また暫くすると目を合わせ同時に苦笑いした。



『沖田さん、行っちゃいましたね。いつもみたいに追いかけなくていいんですか?』


「んな無駄なことで体力使いたかねェよ。こちとら忙しいんだ」


『へぇ〜珍しいですね、土方さんにしては。まぁ、お仕事頑張って下さい』


「おい待て、」



お昼寝を再開しようと私も立ち去ろうとしたところ、土方さんに制服の襟部分を掴まれ身体の自由を奪われる。



『ちょ、何してるんですかッ!?』


「あァ?それはこっちのセリフだ。仕事はどうした仕事は」


『今はお昼休憩なんですっ!私は沖田さんみたいにサボったりしませんよ』


「そうかァ…だったら俺と見廻りしてくれねェか?」



その言葉に身体がピクリと反応し、暴れる身体を停止させる。今…なんて?一緒に見廻りしてくれみたいな事言ったよね!言ったよね!?…マジでか。



「今人捜ししてんだよ。総悟連れて行こうと思ったがあのザマだ。暇なら付き合ってくれよ」


『…わ、私でいいんですか?』


「なんだ、用事でもあんのか?」


『べ、別にないですけど…土方さんがどうしてもって言うなら仕方ないかなァ〜なんて』


「お前可愛くねェな…。素直に行きますって言えよ」



土方さんの言う通りでございます…。もうっ!私のバカバカバカァァア!!何で素直になれないんだよ…!!あー腹立つ、自分で自分の首締めたい。



「ほら、さっさと行くぞ」


『あ、…ハイ!』



土方さんにポンッと背中を押され、足を前へと進める。廊下を歩いていると、後ろからもう一つの足音が聞こえ、これから土方さんと見廻りに行くんだと改めて実感する。

…うん、なんか嬉しいな。いつもは沖田さんとか他の隊士さんと見廻ってるけど、土方さんと行ける日が来るだなんて…!

あ、もしかして沖田さん、私と土方さんを2人っきりにしようと気遣って……って沖田さんが私の恋愛事情など知る訳ないじゃないか。でも、感謝しなきゃね。帰りにでも沖田さんにんまい棒買って帰ろうっと。



― ブルルルル



幸せを噛み締めている途中、スカートのポケットから携帯のバイブが振動した。…誰だろう?携帯を取り出し画面を見ると、そこには【沖田さん】の文字が。……え、なんで!なんで沖田さん!?

急いで通話ボタンを押し電話に出ると、受話口からんまい棒をサクサク食べる音が聞こえ、本当に沖田さんだと確信した。…あんた今何やってんの!?



『も、もしもし…』


「名前、あのミッションやれ」


『え、いきなり何ですか…』


「昨日【え、まさかあの鬼の副長が部下に淫乱行為!?そのままクビになって死ね土方作戦】考えたろィ?それ、今日決行しなせェ。もししくじったら…


うんこしろ」



『んな無茶なァァァア!!』




上司の優しさ
 には裏がある





「どうしたんだ名前、顔色悪ィぞ」


『…なんでもありません』



(土方さんをラブホに誘い込めだなんて死んでも言えない…!)



END
20090124
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さてはて名前はミッションを成功させることは出来るのか!?





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