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濡れた音と押し殺された喘ぎ声が部屋を満たす。
ヤクニの穴にペニスを突き入れ、キッドは荒々しく動いていた。
あまりの激しさに、ヤクニの手が逃れようと動く。
その手首にはめられた手枷の輪を操り、キッドはヤクニの動きを完全に封じた。
ずぷっと体の奥まで突き刺す。ヤクニが目を見開いた。
銀色の髪がベットの上に広がる。
激しく突かれた穴はぽってりと腫れていた。
それが余計にキッドの欲をかき立てる。

「あっ、きっど、…!す、こし…ま、て…っんぁ!」
「無理、言うんじゃ、ねぇっ!」

既に二回体内で射精され、ヤクニの穴からは精子が溢れていた。
キッドはヤクニの懇願を聞き入れる事なく、細い首筋に吸い付く。
鋭い犬歯で噛まれ、ヤクニはビクビクと体を震わせた。
キッドのペニスが締め付けられる。その甘い刺激に、キッドは小さく呻いた。
律動の激しさで、ヤクニの体がベットからずり落ちそうになる。
しかし手首はしっかりと固定されているため、ヤクニは痛みに眉をしかめた。
ギリギリと手首が軋む。シーツは既に床の上に散らばっていた。

「き、っど…!手…を、…っ!」

ぐちゃぐちゃと下品な音を立てて、脚を絡ませる。
ふいにヤクニの手首が自由になった。
その瞬間、ヤクニは反射的にキッドの首に腕を回した。
赤い髪を掴むように撫で、唇を寄せる。
キッドはヤクニに口づけ、繋がったまま抱きかかえた。
体重がかかり、さらに深まる繋がりにヤクニは一瞬息を詰まらせる。
キッドはベットから完全に立ち上がり、ヤクニの腰を掴んで思い切り突き上げた。
精液が滴り、床を汚す。
ヤクニは声なく喘ぎ、必死にキッドにしがみついた。
褐色のなめらかな肌が汗と精に濡れ光る。
尖った爪がキッドの肌を浅く裂く。

激しいまぐわいは、空が白むまで続いた。






部屋に立ちこめる精の臭いに、私は思わず顔をしかめた。
せっくすが終わって、キッドはすぐに寝てしまった。私も少しだけ寝たが、この酷い臭いのせいで目が覚めたのだ。

キッドの腕の中からどうにか抜け出し、窓を開ける。
早朝だからか、町は幾分か静かだった。
道ばたに何人か酔いつぶれた人間が転がっているくらいだ。
転がっている人間の中に、昨夜体の内を焼いた男もいた。
店の者が蹴り出して放置したのだろう。烏が何羽か群がっていた。

私は床にあった布で体を拭いて、着物を着た。
寝台に戻ると、キッドが穏やかな寝息を立てて眠っていた。
昨夜の獣のような姿とは比べ物にならないくらい、幼く見える。
二の腕や背中には私のつけた傷が生々しく残っていた。
爪を舐めると、キッドの血の味がした。
かなり深く裂いてしまったようだ。
私はそっと寝台に上がった。
キッドの背に、舌を這わせる。
固まった血が剥がれ、口の中で融ける。一気に唾液が溢れるのを感じた。
昨夜飲んだどの酒よりも美味だった。
夢中になって舐めていると、急に両腕を引っ張り上げられた。
そのまま寝台に叩き付けられる。
見上げると、眠そうな目をしたキッドと目が合った。

「何してんだ、てめーは…」
「…傷口を舐めていただけだ」
「『舐めていただけだ』じゃねーよ、ヤリ足りねーのか?」

キッドはそう言いながら、私の下半身に手を伸ばした。
またせっくすをしようと言うのだろうか。

「キッド」
「ん?」

キッドの手を掴もうとしたが、私の両手はまだ自由になっていなかった。
仕方ないので脚をキッドに絡ませる。

「もっと舐めさせろ」






キッドの血をあと少し舐めたかっただけだったというのに、なぜかキッドはまたせっくすをした。
部屋を出る時には陽が空の真上に昇っていた。
店に船員の姿はなく、仮面もいない。
皆それぞれ好きな事をやっているのだろうと、キッドは特に気にした様子もなく言った。
道を歩く時、キッドはなぜかずっと私の手を掴んでいた。
周りの者達は私達を避けるように道を開ける。
一人で歩く時よりもずっと歩きやすかった。
納得はいかぬが、キッドの方が人間から恐れられているらしい。
本当にここの人間達は頭がおかしい。

「…前々から思っていたのだが、なぜ私の姿を見て恐れる者がおらぬのだ?」
「はぁ?」

キッドが足を止める。
私は続けた。

「私は人間ではないのだぞ?…確かに私よりも人間離れした見た目の人間はいたが、それにしてもここの人間はおかしい」
「んなこと言ってもな。お前の見た目は全然恐くねーから、仕方ねぇだろ」

私の髪を一房手に取る。キッドはそれを黒い爪で撫でた。
たったそれだけの仕草に、私は顔が熱くなるのを感じた。

「髪も肌も目も角も、綺麗だからな」
「…っ!!」

せっくすしている時よりも、頭がくらくらした。
何と返せば良いのか分からず、意味なく口を動かす。
そんな私を見て、キッドは笑った。
余計に恥ずかしくなる。
私はキッドの手を振り払って、腹に一撃入れた。
無防備だったキッドには思いのほか効いたらしい。「ぐっ!」と息を詰まらせている。

「お、おかしな事を言うでないわ!」

キッドの言葉が頭に、胸に残り、どうしようもなくなる。
これはどういう感情なのだろうか。
自分で自分が分からなかった。
ただ、嫌ではないことは確かだった。

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