1曲目『焼け跡の島』 黄色い潜水艦が海面から顔を出す。 海は穏やかな波を揺らしていた。 重い扉が開き、中から一人の男と白熊が出てきた。 「キャプテン、あの島…」 「燃えてるな」 一人と一頭が見つめる先には小さな島があった。 穏やかな海とは反して、その島は赤々と燃えている。 山火事でも起きたのだろうか。 人の気配は全く感じられない。 船もなければ港も建物もない。 「ログが溜まるまでだ」 男は帽子をかぶり直して船内に戻った。 白熊は燃え続ける島をぼぅっと眺めていた。 * 熱い。どこだここ。喉が焼ける。息が出来ない。 俺は無我夢中で走った。 前に手が出る。四本足で地面を掴む。何でだ。 何で俺は四本足で走ってるんだ。 視界に入るのは熱い赤。 それと己の体に繋がる黒い前足。 それは毛皮でおおわれていた。 何でこんなに足が毛むくじゃらなのか、周りが熱いのか、何一つ分からなかった。 俺はただ夢中に走った。 急に蹴る地面がなくなる。 俺の体は宙にあった。 そのまま、重力に従って落下する。 熱さはない、痛みもない。 もう何も感じなかった。 心臓が動いているのか止まっているのか。 それすら分からなかった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |