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騒がしい仲間たち


「何でテメェはレディーにんな格好させてんだクソゴム!!」


皆が集まっているところに行こうと言われ、ルフィさんに手を引かれるまま連れてこられた。
そこでの第一声が、金髪のお兄さんの放ったこの一言だ。
次の瞬間、ルフィさんの頭に鋭い蹴りが飛んできた。
俺は反射的にルフィさんの前に割り込んだ。
体が勝手に動いたのだ。
腕を交差させて、金髪のお兄さんの蹴りを受け止めようとした。
固く目を瞑る。
しかし、予想していた衝撃はいつまで経っても来ない。

恐る恐る目を開くと、お兄さんの足は俺の顔の前ギリギリで止まっていた。


「あっぶねぇ…俺としたことが、お嬢さんを蹴るとこだった‥」


お兄さんがゆっくりと足を下ろす。
回りにいた人達は、驚いたように俺を見ていた。


「すっげぇ!ユエお前サンジの蹴りが見えたのか!?」
「え?」
「本気じゃなかったにせよ、サンジ君の蹴りに反応できるなんて…」


ルフィさんが目を輝かせて俺の肩を掴んだ。
ナミさんは何か考え込むように腕を組んでいる。
金髪の―…サンジさんは俺の前で片膝をついた。
そっと俺の右手を取る。


「先ほどは申し訳ありません、お詫びに今夜は貴女の好きなディナーをお作り致します」


ちゅ、と流れるような動作で手の甲に口付けられ俺は完全に固まってしまった。


「あらあら顔が真っ赤ね」
「何と可愛らしいお嬢さんでしょうか、パンツを見せて貰ってもよろしいですか?」
「コイツ今俺のパンツ履いてるぞ?さっきかしたから」
「はぁぁぁぁ!?何サラッと爆弾発言してんだルフィ!!」
「嬢ちゃんに変態行為をさせるなんていただけねぇな!!」


何やら大変な騒ぎになっている。
しかし俺の頭はそれについて行けなかった。
ぐらりと痛む頭を押さえる。
するとサンジさんに腰を支えられた。
その紳士的な行動に、俺はどう反応すべきなのか分からなかった。
「大丈夫かい?」と優しく聞かれ、何とか頷く。
ぎゃあぎゃあと騒いでいる人達を放置して、サンジさんは俺を椅子に座らせてくれた。


「それにしても、どうしてクソマリモの服なんか着てるんだ?」
「くそ、まりも…?」


ゾロさんのことだろうか。
俺が首を傾げると、サンジさんはなぜか頬を赤らめて口元を押さえていた。


「俺が無理矢理着せたんじゃねーよ!ユエが着たいっつったんだ!なぁ、ユエ?」


ルフィさんがぴょん、と俺の隣に来た。
慌てて頷くと、「だーから言っただろが」とルフィさんが胸を張る。

そう言えばこの服の持ち主―…ゾロさんはどこにいるのだろう。
俺がキョロキョロと辺りを見回すと、背の高い骸骨が歩み寄ってきた。
さっきパンツがどうとか言っていた人だ。
この人もこういう人種なのだろうか。
骸骨を見上げると、骸骨は恭しく礼をした。


「初めまして、私はブルックと申します。パンツはまたの機会に―…」
「オメーはいい加減パンツから離れろ!!」


ブルックさんの頭に長っ鼻の少年がツッコミを入れる。
なぜブルックさんはそんなにパンツが見たいのだろう?
パンツを持ってないとかか?
そんなに見たいなら、後ろに立っているお兄さんのを見れば良いのに、とパンツ丸出しで立っているお兄さんとブルックさんを交互に見た。


「この骸骨が言うことは気にしなくて良いからな?俺はウソップってんだ、よろしくな」


長っ鼻少年が右手を差し出す。
俺は立ち上がってその手を握った。


「えと、俺はユエです。よろしくお願いします」
「ユエちゃん!一人称が俺でも可愛らしい!」


サンジさんがクルクル回り出した。
ギョッとしていると、「あれも気にすんな」とウソップさんに言われた。
そして、パンツ丸出しのお兄さんがこちらに近づいてきた。
何だか人間離れした体型のお兄さんだ。
ブルックさんやチョッパー君と比べたら、普通に人間なのだが。


「嬢ちゃん、俺の事はフランキーって呼んでくれよな!アニキでも良いぜ」


変な人だけれど、いい人そうだ。
俺は笑顔で「はい、アニキ」と答えた。
フランキーと呼び捨てするよりアニキの方がまだ呼びやすい。
アニキは「うぉぉぉ!スーパーに照れるぜーっ!!」と叫んでいた。


また辺りが騒がしくなる。
サンジさんがしきりに好きな食べ物は何かと聞いてきたが、俺はそれに答えずにゾロさんの姿を探した。



まだ俺はあの人にちゃんとお礼を言えていない。




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