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花の悩みA


 校舎を出ると辺りは真っ暗で、寒々しい街灯の光がチカチカ瞬いていた。でも俺は全然寂しくないよ。隣に蓮見がいるからさ。

「来週雪が降るかもな」

「うそーじゃあホワイトクリスマスだね」

 俺は楽しみだな〜と頬を緩ませて、そっと蓮見の手に触れた。そうすると大きな手の平が握り返してきてくれて、あったかいな〜ってニンマリしちゃう。

「教室は寒くなかったか?」

「うん、まだ大丈夫そ。カイロ持ってたし」

「今日は矢沢も一緒だったな。何話してたんだ?」

「んー……勉強見ててあげただけだよ?」

 蓮見が立ち止まって俺の顔を覗き込んだ。

「本当か?」

「え、何疑ってんの」

 慌てて横を見ると、チュッと頬にキスされた。

「いや、ちょっと妬いただけ」

 蓮見がふんわり笑ったので、俺の心臓は信じられないくらいバックンバックンいってる。
 これから俺がやろうとしている事に比べたら、全然可愛いものなのに。ああ、こんなんで俺大丈夫かな? でも、今日は絶対に引かないんだからっ。
 俺はギュッと蓮見の手を握り締めた。

「今日さ、蓮見の部屋行って良い……?」

「……ああ、良いよ」

 俺は恥ずかしくて、蓮見の顔が見れなかった。ただ頷いて、蓮見を促し足を出す。蓮見は黙って俺の横を歩いてくれた。

「花、先入れ」

 蓮見が脱衣場から顔を出して、俺にタオルを放った。でも俺はテレビに顔を向けながら生返事をする。

「花」

「ごめん、蓮見先入って」

 テレビに夢中な俺の様子に、蓮見は何の疑問も持たず、寝室に消えた。そして着替えを取って、また脱衣場に入る。しばらくして、浴室の水音が聞こえてくると、俺はテレビの電源をバチリと切った。

 ガチャリと予告なくドアを開けると、体を洗っていた蓮見が驚いたようにこちらを振り返った。
 うあっ、水も滴る良い男っ! 逞しい胸板が、鼻血出るっ。

「え、花?」

「俺も一緒に入る!」

 きっちりドアを閉めてにこりと笑うと、蓮見は目をぱちりと瞬かせて、ああと頷いた。んー……、なんか思ったよりも普通? もっと赤くなったり、照れたりするかと思ったのに。やっぱり俺のこんなペラペラの体じゃあ、欲も湧かないよね……。
 俺は内心しょんぼりしながら、蓮見に手を引かれお風呂のイスの上に大人しく座った。
 温かいシャワーが体中に降り注いで、そっと目を瞑る。蓮見は自分のことはそっちのけで俺の髪を洗ってくれた。それが嬉しくて照れくさくて、俺の心臓はドキドキと高鳴る。

「ほら、体洗え」

「え〜蓮見やってくれないの?」

 後ろを振り返り蓮見に強請る。背中を体に押し付けて、アピールしてみた。けれど蓮見は、一度溜め息を吐いて青いスポンジを取り出しただけだ。あれ、なんか怒ってる?
 俺の心臓は途端に小さく縮こまった。でも蓮見の手が優しく体を洗ってくれるから、相変わらずウルサく鳴っているんだけど。

 ……ダメだ、せっかく決心したんだから。
 蓮見の手が腹の上でぴたりと止まった。

「……花、あとは自分でやれ」

 そう言って俺の手にスポンジを握らせる。でも、俺はくるりと体を反転させて、そばにあった蓮見の唇にちうっと吸い付いた。
 突然のことに、蓮見が目を見開いた。俺はペロリと唇を舐めて、ニヤリと笑う。

「洗ってくれたお礼に、蓮見のもやったげる」

「は?」

 俺は床にあぐらをかいて座っていた蓮見に跨り、その中心をスポンジでそっと撫で上げた。そこで少し驚く。

「蓮見、勃ってる……?」

 顔を覗き込むと、蓮見は不機嫌そうに眉を寄せる。

「……お前が煽るからだろ」

「うん……ちゃんと責任とるよ」

 俺は途端に嬉しくなって、蓮見の緩く立ち上がったそれをパクリとくわえ込んだ。それには蓮見も驚いたのか、花!? と声を裏返して悲鳴を上げる。でも俺は口の中でふるふる震えるそれが愛おしくて、もう夢中でしゃぶって吸い上げた。

「花、やめっ、おい!」

 蓮見は俺の肩を押して逃げようとするが、全然力が入っていない。
 指で袋を刺激しながら、裏筋や亀頭を舐め上げると、とろりと透明な液が漏れ出てくる。蓮見が息を詰めて、ああ感じてくれてるんだなぁって嬉しくなった。二ノ宮に叩き込まれた口淫がこんなところで役に立つとは、ちょっとアイツに感謝しなければならない。本当にちょっとだけ。
 俺が考えた作戦。蓮見を煽るだけ煽って、もー無理やり事に及ぼうという、これまた単純でお馬鹿なものだ。でも、俺もそれだけ切羽詰まってたってことなんです。

「ふ、はふひ、ひもひいい?」

「馬鹿、喋んっ」

 蓮見が俺を引き剥がそうと、力を込める。ビクビクと蓮見のがおっきくなったから、きっとあとちょっとだ。
 俺は舌の動きを激しくして、尿道をこじ開け一層強く吸い付いた。

「バッ!」

 蓮見が息を詰め、足の筋が緊張したように強張った。途端口内に迸った熱いしぶきを、全部受け止める。
 コクリと喉を鳴らした俺に、蓮見は呆然と目を見開いた。

「お前……」

「ん……、ご馳走さま」

 ちうっと吸い付いて、最後の滴を舐めとると、俺はにっこり笑った。



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