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雨が止んだ土曜日


 澄んだコバルトブルーに白い光線を放射する太陽が昇る。
 昨日の雨ですべて吐き出したかのような快晴。

 1時に太陽広場の日時計の前にいて下さい。

 神谷に言われた場所は街中にある大きな公園の中にあった。
 大通りや地下鉄の駅が近くにあることから平日でも人で賑わう場所だ。
 休みの日などは特設ステージでイベントをしたり、広場でフリーマーケットや音楽祭が行われたりしていた。
 その広場の象徴たる日時計の前は、待ち合わせをする人間達で混雑していた。
 俺が着いたのは1時10分前。神谷の姿を探すが、まだ来ていないようだった。

 レンガで作られた囲いの縁に腰を掛けるとちょうど目の前にステージが見える。と言っても今は人垣で半分は遮られていた。
 今子どもに人気の戦隊ヒーローのステージショーをやっているようだった。
 しかしイベントに興味がない俺にとっては混雑の原因たるそれに勝手な恨みを持ってしまう。

 足と腕を組み、今か今かと神谷を待つ俺。
 そこにのしりのしりと緩慢な動作で近付いてきた奴がいた。

「……何だ」

 人波を掻き分け進んできたそいつはふかふかの体毛に大きな頭と瞳を持つ巨大なうさぎ…の着ぐるみだった。
 愛らしさが強調されるよう作られたキャラクターだが、それに間近で見下ろされると少し不気味だ。思わず体を引く。

 着ぐるみは大きな動作で体を揺らす。挨拶でもしているつもりか。
 周りの子どもや若い女の人なんかは笑い声をあげながら写真を撮ったり着ぐるみの体に触ったりしている。着ぐるみも愛想良く手を振ったり踊ったりしている。
 確か清涼飲料水のキャラクターでキャロルと言ったか……。
 俺は自分の腕時計をちらりと見た。
 長針が動きちょうど約束の時間を迎える。
 神谷は時間に正確だ。俺を待たせるような事はしない。
 だが周りを見回してもそれらしい人物はいなかった。
 ただ目の前に不審な着ぐるみがいるのみ。

 まさかな、そんな馬鹿なこと……。

 俺は立ち上がりキャロルのピンク色の腕を掴んだ。

「……お前、神谷か?」

 キャロルは動きを止めた。



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あきゅろす。
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