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お昼ですよ




ざわざわとたくさんの声が響く。
天井も広さも規格外に高くて広くて、壁際は全面ガラス張りだなんていう、どこの宮殿かってつっこみたくなるような内装。どんな無駄遣いなの、理事長。

最初はそりゃあ驚いたし慣れるのにも時間がかかったけど、比例するようにご飯も美味しいってことに気付いてから気にしなくなった。…というか開き直った。まあ、食べれればいいやーみたいな境地に達しましたのです、はい

奥の厨房から流れてくる仄かなガーリックの香りはとても食欲をそそる。
あ、今日アレだといいなー


「ケイ様、」


おっと、チズが隣からこっそりハンカチを差し出してくれた。うーん、いいお嫁さんになりそう。
逆隣のトキはぽやんとそれを見ていて、頭の中はきっと分厚いステーキのことで一杯なんだろう。とりあえず俺のハンカチをこっそり差し出しておいた。


「お待たせしまし」「「「きゃあああああ」」」


た、とちゃんと最後まで言い切って平然と料理を並べてくれたウェイターさん。オールバックのよく似合うちょっとアブナイ香りのするお兄さんで、名前は田中さん。密かな俺の憧れの人。


「田中さーん」
「…よぉ、」

丁度後ろに来たときに勢いで抱きついてみた。俺は座ってるから、丁度目の前にある田中さんのお腹にぐりぐり頭を押し付けた。ちょっとだけするシトラスの香りがたまらない。あれ、俺へんたい?
仕事中だって言いながら、ガシガシっていうよりわしゃわしゃっていう撫で方をする田中さんがたまらない。しょうがねえなあっていう雰囲気がたまらない。無口万歳。あれ、俺へんたい?(二回目)
…まあそこは置いといて、


「ケイ様、ご飯が冷めてしまいますよ」
「……」
「大丈夫、トキが食べてるしー」


俺が言い終わるより先に、スパンッと光の速さで良い音がした。見ればトキはぽかんと箸を止めていて、チズはハリセンを構えてぷるぷるしてる。色々ツッコミたいけど、まずそのハリセンどうしたの、チズ。


「……痛い」
「痛くしてるのっ!」


俺を飛び越えて喧嘩…もとい、チズのお説教がとぶ。「ケイ様の栄養が〜」とか「ケイ様のカルシウムが〜」とか、涙目のトキにはきっと馬の耳にナントカですチズ様。

俺はと言えば、田中さんに勢いで抱き着いたままそんな二人を眺めています。後で聞いたら、俺はこの時とても優しい目をしていたそうな。

っていうかそもそも何の勢いなのかって?それはね、未だに生徒会ズー(俺除く)に興奮したままのチワワちゃん達のテンションです。

そう、だんだんその歓声が近づいてるだとか、「高梨様っ!?」とか「どうしようボク気付けなかったぁっ」とかチワワちゃんズの声がするとか知りませんほんとに。田中さーん


「集合だ、ケイ」
「……コンニチワ、会長サマー」


……せっかく隠れてたのにー。






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あきゅろす。
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