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森の古城と仲間たち2
ハンターの本部は人目に付かない森の中、そしてその奥にある。
町に隣接する森は鬱蒼としており人を寄せ付けないどんよりとした雰囲気に包まれており、それがその存在を隠すカモフラージュとなっているのである。加えて森の中には化け物がでて人を喰らうという噂話が町には広まっており、当然のごとくそこに足を踏み入れるものはいない。わざわざそんな場所に本部を置く必要はないのではないかと思うことも多々あるが、設立した指揮官が少しミステリアスなくらいがかっこよくて丁度よいというよく分からない考えのもとそうしてしまったのだから仕方がない。

森のなかを進んでゆくと、薄暗く不明瞭な視界の中に古びた門が見えてくる。細かな装飾が施されていたようなのだが、すっかり錆ついてしまっていてその美しさは見る影もなくなってしまっている。門としての機能は生きているので、ギギギ、という錆ついた音とともにその先にそびえる建物が姿を現す。それは、古びた洋館であり古城のようにも見える。
一体誰がいつ、何のために建てたのかも分からないその城は朽ちてなお優美さと厳格な守りを感じさせている。

一見人が住んでいるという考えそのものを廃絶するような風貌の城だが、エントランスホールへと続く扉を開くと、その印象は一瞬で払拭される。その室内は整備が細部にまで行き届いており、新築さながらの真新しい美しさが出迎えてくれる。

「いつ見てもこの外と中のギャップには驚くよなぁ。どういう仕組みをしてるのかしら」

「確かにね。普通に考えてあり得ないよな」

この本部はいわばハンターの家であり、各自自室が存在し任務以外はそこで生活を送る。もう結構の歳月をこの場所で過ごしているが、未だに分からない謎も多い。全体を把握しているのはおそらくこの古城の持ち主だけだろう。

「あれ!みんな帰ってきたの?おっかえりー!」

吹き抜けになっているエントランスに明るい声が響く。すると上階へと続く階段から少女が勢いよく駆け下りてくる。その言動は元気いっぱいといったような所だが、何より特徴的なものがその容姿だ。深紅。足取りに合わせて揺れ動く髪、そしてまっすぐこちらを見るその瞳が、燃えるような紅をしている。

最期の数段を飛び降りて抜かし、階段を降り切った少女は三人の前で静止する。その瞳はいかにも興味深々といったように爛々と輝いている。

「ただいま、リサ」

「任務お疲れさまー。なんか面白いことあった!?聞かせなさい。あ、ダズは診察お疲れさま!」

少女、リサは満面の笑みとともに一斉に言葉を投げかける。その様子に半ば気圧されながら、ディーナは苦笑う。


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