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その理由は6

「まあそんな感じで、これが新しい任務だよ。傷はもう大丈夫なんだろう?」

「ああ、まあな」

「あ、そうだ。今回はディーナとは別行動だからね。彼女には今別の仕事をしてもらってる」

レオの言葉は意外だった。ディルはわずかに目を開く。

「今回はあいつはいないのか」

「そう。寂しい?」

「馬鹿いうな。楽で良い」

にやにやと楽しげに聞いてくるレオを冷ややかにあしらう。 
寂しいなんてありえない。むしろまったく逆の感情だ。解放感すら覚える。
任務は馴れ合いではない。余計な干渉を受けることもないし、単独であった方がやりやすい。
安堵するディル。だが、レオはそれを許しはしなかった。
にんまりと口元を歪ませて、一言。

「その代わりといっちゃあれだけど、今回は別の二人が同行するからね」

「は?」

ぴしり、とたんに嫌悪感を具現化したようにディルの表情が変貌する。整っているはずの顔立ちが歪に引きつるのとともに、殺意じみたものまで放たれているような気にさえさせる。その口が不満を言語化する前に、レオは精一杯の笑顔でもって話を終わらせようとする。

「依頼人とは明日接触できる予定だから、それまで資料読んで詳細を把握しておくように!以上!退室を許可する!!」

「てめぇ…ふざけんななんで……」

「リサー」

開口同時に、レオはリサに目配せをする。その意図を理解したリサが「はいはいー」と軽く返事をしたかと思うと素早くディルの腕を鷲掴み、有無を言わさぬ勢いで扉へと向かっていく。

「リサ!離せ……」

どういう訳かリサの力は強く、簡単には振り切れない。ディルはあっけなく室外へと追い出されてしまった。こちらへ向けて手を振るレオの余裕にあふれた表情が憎たらしくて仕方がない。

ぱたん、扉の閉ざされる音とともにリサの手を振りほどく。

「ごめんねー!怪力の秘密はこの最新秘密兵器、『かいりきくん二号』のおかげでしたー」

人の掌の形をしたものに、鉄製のバネが取り付けられた珍妙な機会を手にして眉根を下げながらリサが笑う。その笑顔すら鬱陶しそうに、「邪魔をしやがって……」そう呟きながら恨めしげな視線を彼女へ送るディル。気分は相当不快、不機嫌極まりない状態だ。

「任務なんだし、仕方ないよー。きっと助け合わないと解決できないんだって」

これ以上機嫌を損ねることのないように注意してか、出来る限りの笑顔で応じるリサ。しかし、その言葉はディルに平静をもたらすには及ばない。

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あきゅろす。
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