はじまりの来訪6
ぎこちないベルトの受け答えに、我慢ならないといった感じで少女は言った。
「敬語はいらないよ。そんなかしこまる必要ないわ。見たところ私とそんなに歳も変わらなそうだし、ね」
「は、……い?」
「あ、私、ディーナ。ディーナ・ループよ。よろしくね」
言うと、ディーナはにこりと笑い手を差し出す。
いきなりの自己紹介が予想外だったベルトは、数秒遅れで慌てて名を名乗った。
「べ、ベルト・リトラシアン!よ、よろしく……です」
ディーナの手を握り返すと軽く握手をし、ぺこりと一礼する。
あたふたするベルトは、完全にディーナのペースに呑まれてしまっている。
「ベルト君ね」
ベルトの名前を復唱すると、満足げにうなずくディーナ。
そんな彼女を横目にベルトは困惑続きの頭を何とか落ち着かせよう自分に言い聞かせる。
分からないことだらけだ。
とりあえず、ディーナは何かしってるかもしれない。彼女に聞いてみるのも手ではないか。そう思ったベルトは自身の疑問を彼女に投げかけることにした。
「あの、さっきの化け物って一体……?」
「ああ、あれはね……」
ディーナが口を開いた、その時だった。
「グルルルゥゥゥゥ……」
「!」
呻き声があたりに響いた。
その方向を振り向くと、先ほど倒したはずの猛獣が身体を起こし臨戦態勢をとっていた。
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