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はじまりの来訪5


「これで大丈夫」


そう言うとベルトから数歩ほど離れる。
傷のなくなった膝と少女とを交互に眺めたあと、ベルトは少女へと向き直った。


「あ、ありがとうございます。助けていただいた上に治療まで……。このお礼はいつか必……」


「お礼なんていいよ」


必ずさせてください。ベルトがそう言いきる前に少女はそう言うとくすりと笑った。


「さっきは大変だったでしょ?本当、無事に助けられてよかった」


安堵の表情を浮かべ、笑顔で自分を見る少女にベルトは困惑の色を隠せない。

自分を助けてくれたことから悪い人では無さそうだが、どうにも謎が多い。彼女が持っていた拳銃は普通の人は所持を許可されていない。銃の所持を許されているのは軍人や国家の特殊部隊のような特別な人たちのみだ。それなのに何故、この目の前の少女はそんなものをもっているのだろうか。しかも走る猛獣を一発で仕留めてしまうほどだ。
かなりの腕前をもつのだろう。銃の扱いは一般人には難しいものだと聞く。狙って撃つのは至難の業だ。発砲の衝撃も大きいだろうし、細身の少女がそれを悠々と扱えてしまうのはどうにも信じがたい現実だった。加えて、先ほどの謎の治癒術である。母親が薬師のベルトは医療の現場に関わることが多かったが、あのような不思議な術は見たことがない。


気にかかる点が多すぎる。安易に信用してはいけないだろう。



「君。この辺の村の人?」


思考をめぐらすベルトに、少女が問いかける。


「え、はい。そうです。この近く、ホドリ村に住んでます」




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あきゅろす。
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