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終息、そして11



「まさか、本当に倒しちまうとはねぇ」

一人村の様子を眺めていたディルを見つけたマーダリカは、彼のもとへと歩み寄る。

「……」

「そんな警戒しなさんな。ほれ」

豪快な笑顔とともに右手を差し出すマーダリカ。その意図が分からずディルは疑問の表情を浮かべる。

「怪我してるだろう?診せてごらん」

「平気だ」

「平気なもんかい。見るからに怪我人だろうが。いいから診せな」

半ば強引にマーダリカによって治療を受けることになる。「こりゃ、ひびはいってんなー」やら「何をしたらこんな怪我するんだい」やら、いちいち小言が多いことだ。ディルは小さく溜息を吐くと、呆ながらも呟いた。

「親子そろって同じことを言うんだな」

「ベルトにも治療させろって言われたのかい?はははっ、血は争えないねぇ」

傷口を消毒し、包帯を巻き付けながらマーダリカはどこか嬉しそうだ。「まあ、あの糞ガキが薬師を語るなんざ千年早いがな!」と加え、にやりと笑う。

「ありがとうね」

ふと、マーダリカがそう呟いた。いつもとは異なる優しい声色に少しばかり驚く。

「何がだ?」

「何が、じゃないよ。馬鹿」

まだ子どものくせに、ずいぶんと生意気なものだ。
マーダリカは心中で苦笑する。

「それにしても、どうしてあんた等みたいな子どもが戦ってんだい?」

「……さあな」

「まあ、詮索はしないさ。だけど、子を持つ母として言わせてもらうよ。もっと自分を大切にしなさい。あんたを大切に思う人がいることを忘れるんじゃないよ」

「……考えておく」

「はいはい。さぁ!終わりだよ!」

包帯をしっかりと結ぶとマーダリカは思いっきりディルの背中を叩く。骨にひびが入っているにも関わらず、だ。ディルは一瞬驚いただけで何も言わなかったものの、恨めしげな視線をマーダリカに送った。

脱いだ服を着直すと、ディルは調べたいことがあるらしくまたどこかへ行ってしまった。

一人残ったマーダリカは彼から感じた小さな違和感に眉をひそめた。

――変だねぇ。傷の治りがやけに早い。気のせいだろうか……

治癒力には個人差があるし、ハンターは身体が常人に比べて丈夫にできているのだろう。マーダリカはそう考えることにして、村人の中に怪我人がいないかを探し始めた。

そして、自身を探していたベルトと再会し、彼へと鉄拳制裁を加えることとなる。

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あきゅろす。
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