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はじまりの来訪4


「あ、ありがとう……ございます」


差し伸べられた手を取ると、ベルトは力の入らない脚を気合いで踏ん張らせ、よろよろと立ち上がる。掴んでいた少女の手を離すと、支えを失ってバランスを崩しかけも何とか体勢を維持する。
先ほどの逃走劇で限界まで酷使しただけあって、立っているだけでもかなりしんどい。
呼吸はだいぶ整ってはきたが、まだ歩くだけの力までは回復していないようだった。


「脚、怪我してるみたいね」


「え?」


そう言われて脚に視線を向けると、膝から真っ赤な血が流れ出ているのに気付いた。おそらく転んだときに擦りむいたのだろう。そのほかにも必死で逃げていたため気付かなかったが枝葉で切ったのであろう小さな切り傷が無数にあった。


「うわ、気付かなかった。いてて……」


単純なもので、今まで痛みなど感じてさえいなかったのに、一度気付いてしまうと一変して痛みが襲ってくる。大した怪我ではないとはいえ、やはりちょっと痛い。
顔をしかめていると、少女が脚に備えたケースに銃を収納しながら歩み寄ってきた。急に近づいてくる少女にベルトが内心ドキリとしていると、「診せてみて。」と傷を覗きこまれる。


「待ってて。今治療するから」


そう言うと膝の傷に手をかざす少女。わけがわからずきょとんとしていると、かざされた手のひらからあたたかい光が発せられる。


「!?」


突然の謎の発光に驚いていると、みるみるうちに膝の傷が癒えていく。

光が収束し、完全に消えると膝以外の切り傷も含めてベルトの傷はきれいさっぱりなくなっていた。


「……すごい」


あっけらかんとするベルトに、少女は微笑んだ。


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