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移ろいゆく日常11

「いいんですか?行かせちゃって」

ディルの姿が完全に見えなくなると、ベルトが不服気に尋ねる。するとディーナはほんの少し寂しげに表情を歪ませながら、ぎこちなく微笑んだ。

「ディルなら大丈夫だよ。強いから。それより、せっかく心配してくれたのにごめんね」

「なんで謝るんですか。ディーナさんは悪くないです」

貴女が謝ることはない。必死にそう訴えながら、ベルトは今まで抱いていた一つの疑問を言葉にする。

「……どうしてディーナさんは彼と一緒にいるんですか?ディルは、その、なんだか俺らと関わるの嫌みたいだし。一緒にいても、辛い思いするだけじゃないんですか?」

思いきって、しかし恐る恐る紡がれたその疑問のことば。それにディーナは少しばかり驚きに目を開いたが、すぐに普段の優しい色をその碧眼に含ませて迷いなく答える。

「辛くなんかないよ。私がそうしたいだけだもの。それに、ディルは大切な仲間で、家族だから」

余計なことを言ってしまった。
まっすぐに自分を見据えるその瞳にベルトは後悔を覚える。

「そう、ですか。すいません。余計なこと聞いちゃって」

「大丈夫。心配して言ってくれたんでしょう?ありがとうね」

そう言ってくれるディーナの優しさと笑顔に大分救われる。ベルトは感謝を言葉にする。

「いえ。なんだか、ありがとうございます」

「いいよ、なんでお礼言うの。それと、敬語じゃなくて良いよって言ったよね。普通でいいよ、普通で。ね!」

「あ、そういえばそう言われたかも……」

出会った当初、敬語は使わなくて良いと言われていたことを思い出す。たたみかけるようにいろんなことがあったせいですっかり忘れていた。

「そうだよ。あと、『さん』もいらないからね」

人差し指を立ててそう付け加えるディーナ。

「わかった。そうするね。なんか今まで敬語だったから慣れるまで違和感が……」

彼女の提案に素直に従うことにするも、敬語からの急な切り替えは慣れるのに時間がかかりそうだ。苦笑いとともに切り替えを脳内で繰り返し意識する。

「徐々になれるよ。さて、聞き込みに行きましょうか!」

「うん」

勢いよく仕切りなおすと、二人は午後の日差しに活気づく村の中へ繰り出して行った。



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あきゅろす。
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