[携帯モード] [URL送信]
はじまりの来訪2


少年―ベルト・リトラシアンは都心から離れた小さな村のさらに外れに住む至って普通の少年だった。

普通に学校へ行って、ご飯をたべて、今日もいつも通り普通の日々を送る予定だったのだ。だが、夕飯前に薬師(――薬草を合成し薬を作り出す専門家。)である母親から薬草の採取を頼まれそれを引き受け、少し 離れた森の中へ足を踏み入れた。

今思えばこれが不幸の始まりだったのだ。

頼まれた薬草がなかなか見つからず、森の奥へと進んだベルトはそこで異様な光景と出会った。大きな、自分の身長の倍はあるであろう大きな化け物が元来森にいた動物たちを襲い、喰らっていたのだ。
想像もしていなかった出来事に呆然と事を見つめていたベルトは、その標的が自分へと向けられるまで自身へと迫る危険に気付けなかったのだ。
ベルトという格好の獲物に気付いた猛獣はすぐに彼を捕食せんと飛びかかってきた。そして、現在の状況に至る。


比較的足が速く、運動が得意であったことが幸いしてベルトはかなりの距離を逃げることができた。だがもう限界だ。これ以上は走れない。

べルトの脳裏に「諦め」の二文字が頭に浮かんだ。もうこの足を止めてしまおうか、そう思った時だった。



[*前へ][次へ#]

2/44ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!