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移ろいゆく日常2

先程の暴力沙汰を目にした手前、清々しいまでに人のよさそうな笑顔を向けられることに戸惑いを覚える。

「は、はぁ」

困惑を笑顔でごまかしていると、いつの間にか起き上がっていたベルトが間を取り持つ。

「あ……っと、紹介するね。この人が俺の母さん」

「マーダリカ・リトラシアンだよ。よろしくね」

にこり、笑顔を浮かべる女性からは優しそうな雰囲気を纏っており、先程の人物と同一人物であることが疑わしいくらいだ。

「私はディーナといいます。あっちはディル。私たち、森でベルト君に出会ったんです」

「ふうん?そうかい。そもそもなんでこんなとこまで来たんだい?旅人ってわけでもなさそうだけど」

ディーナたちの様相を見て、不思議そうに尋ねる。

「えーっと……」

話をすると長くなりそうだ。
どこから説明すればよいかとディーナが考えていると、代弁するようにベルトが口を開いた。

「んとね、母さん。俺、森で変な化け物に襲われてさ。それでやばかったとこを二人に助けてもらったんだ」

「化け物?なんだい、それ。熊かなんかに出会ったのかい?」

化け物、と聞いて怪訝そうに眉根をよせるマーダリカ。ベルトは「違うよ」と説明を続ける。

「今まで見たことないような変な猛獣だよ。この森の他の草食獣を襲ってたんだ」

「新手の肉食獣かい。村の猟師に退治してもらわないとだね」

「あー、そうじゃなくて……」

いまいち話が通じていない。どうしようかと思案していると、後方で事態を傍観していたディルがため息交じりに開口する。

「普通の生き物とは違う。普通の人間の手には負えないだろう」

「普通の人間……?それじゃ、あんたたちは一体何なんだい?」

「私たちは―――」

率直に疑問を口にするマーダリカに、ディーナはいままでのいきさつ、自分たちのことについて説明した。

「―――というわけなんです」

「なるほどねぇ。確かに、こういう村にとっちゃ軍人はあてになんないからね」

事情を説明され、うんうんとうなずくマーダリカ。
軍というものはどうしても大きな大都市を優先しがちだ。ホドリ村のような小さな村は手が回らないという理由で相手にされないことが多いのだ。

「そういうことなら。いいよ、ゆっくりしてきな!」

「本当ですか!?ありがとうございます!」

自宅への宿泊も快く快諾してくれた。
この家にはベルトと彼女の二人暮らしらしく、空いている部屋も十分にあるそうだ。

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あきゅろす。
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