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長い夢のエピローグ7
 
 翌日、ハンターたち全員にレオの口から今後のことが語られた。
 トラヴィスでの任務で得た情報の共有、そして、さらなる事実の追求のために敵対の危険性を負いながら軍と接触していかなければならないこと。
 事の次第によってはハンターの存続にまで影響する可能性のある局面だ。全員に情報を伝え、その上でそれぞれの意志を尊重する。それがレオの考えだった。
 
 そして、全員の意志が真実の追求へと向かった。


「と、いうわけで。さっそく次の任務の詳細を伝えるね」

 招集された5人のハンターの前で、レオはいつもと変わらぬ様子でそう告げた。彼の隣には、それと対照的に緊張した面持ちのメルベルが口を強く結んでいる。

「軍の情報を探る……ってのが当面の目的なんだけど、かといってしょっぱなから軍本体に殴り込み潜入って訳にはいかないでしょ。そんな中で朗報。ミリカの得てきてくれた情報に、打ち捨てられた軍の古い研究施設の存在があったんだ。今回はそこに潜入してもらうことにした」
 
 机上に広げられた地図の一点をレオが指さす。ザルカンタ全土を表す古びた地図の下部分。現在は立ち位置禁止区域となっている軍の所有地の一角だった。

「今は厳重に封鎖されてて人が近づけないようになってるみたいだけど、周囲を監視してる門兵さえ欺ければ潜入は簡単らしい。設備とかももう使われなくなってずいぶん経つから作動してるものは少ないだろうしね。ここで何が研究されてたか、とかそういった情報は全部不明。抹消……されたのかなんなのか分からないけど、人の目に触れられたくないようなものであった可能性は高い」

「そこに行けば、コアを持つ生命体に関した物でなくても、軍が隠しておきたいなんらかの重要な情報は得られる……ってことですよね」

「つまり、少なくとも弱みを握れるってことか!」

 緊張からか、いつもより少しだけ背筋に力が入ったダズに、ジャルが続いた。
 無言でそれにうなずいて、レオは話を続ける。

「簡単に言えばそういうことだね。コアを持つ生命体……長いから有核生物ってことにしよう。それはもちろんこの世界の理に反することだし、生体実験は倫理的問題点も多い。やってはいけない禁忌に手を染めている可能性が高いんだ。そうなると当然、人には知られたくないよね。だから、打ち捨てられた研究施設が有核生物に関する研究を行ってたとも考えられる」

 「なるほど」とうなずいて、リイラが口を開く。

「――でも、どうして軍はその研究施設を打ち捨てたのでしょうか。有核生物の出現とその個体数の多さを考えると、研究自体がストップした可能性は低いように思います」

「研究施設が打ち捨てられた理由は現段階では分からない。だけど、これから調べていく中でそのへんも分かってくるんじゃないかな。まあ、考えて悩むより行動! だよね。具体的な事を話すから、ちゃんと聞いていてね」

 それぞれの面持ちがより緊張したものになる。
 レオはその表情を一望するとゆっくりとした口調で告げる。


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