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長い夢のエピローグ6

「まあ、これから先どうなってくかは分かんないしさ。案外平和的に解決しちゃうかもしれないしね。慎重な姿勢は崩さずに、慌てずゆっくりと状況に対応してきましょー!」

 先ほどまでの緊迫した空気はどこへ行ったのやら、そう言ったレオの声は緊張感に欠ける気楽なものだった。
 それを感じながら、ダズは苦笑う。だが、同時にそれがレオの配慮によるものであると理解した。どれだけ考えても、不安をぬぐうことは出来ない。そんな大きな問題を前に、少しでもそれを和らげることができるようにと。
 
「とりあえず、今日のところはこれで終わりにしておこう。任務帰りで疲れてるだろうしね。今後どうしていくかは考えておくから、今はゆっくり休みなさい」

 そう言ったレオに送り出される形で、任務の報告は終了。三人は部屋を後にした。


「なんかこれから大変そうだなー。話聞いててわけわかんなくなってきだぜ」

 ドアが閉じられるや否や、開口したのはジャル。一見いつもと変わらない口ぶりだが、その声には少しばかり動揺が混ざっているようでもあった。

「はあ……俺もだよ。国を相手にしても負けねぇ。とか言っておいて、やっぱりびびってるんじゃないか」

「うるせー、びびってねえよ。武者震いだし」

「どうだかね。でも、まあ、当たり前の反応だとは思うよ。ディル……はいつもと変わらないようだけど」

 レオとの話の中で緊張感を感じつつある二人とは打って変わって、ディルは平然とした様子であった。未だ状況を理解していないのか、それとも理解してなお軍への恐れという感情を抱いていないのか。それは本人にしかわからない。

「でも、ディルが率先して続けたいと言うなんて、意外だな」

「そうか? 別に、俺がどう思おうと俺の勝手だ」

「どうこう言おうとかそういうつもりじゃないよ。ただ意外だったんだ。俺の勝手なイメージだけど、君はこういう面倒に足を突っ込むことはしないと思ってたから」

「確かになー。俺もそう思ってた」

 ダズの言葉に便乗してジャルもうなずく。

「それはお前たちの勝手な想像だろう」

「やっぱりお前も気になるのか? コアを持つ生物の気配を感じ取れるんだったよな、確か」

 二人の言葉を鬱陶しく思うのか、不機嫌そうな顔をして、それでも一応淡々とした口調でディルは答える。

「その通りだ。あいつらがなんなのか、俺も気になっている。それにあの女のことも気ががりだ」

 あの女、とはトラヴィスで出会った少女のことを指すのだろう。
 猛獣と同様、傷を負っても再生する。不思議な少女。あれはいったい何なのか。それは謎に包まれている。

「調査を進める中で、あの子の情報も得られるかもしれないね」

「ああ」

「まあ何はともあれ、これからの任務。気を引き締めてがんばってこーぜ!」

 気合の入ったガッツポーズとともに、ジャルは勢いよく言い放った。

「本当、一番気を引き締めるべきは自分だってこと。わかってくれよ?」

「うるせぇっての!」

 明日以降、これからどのように動いていくのか具体的なことは決まるだろう。そうなればジャルの言葉通り今まで以上に気を引き締めていかなければならない。
 この先に何が待ち受けているのか。それは誰にもわからないのだから。




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