長い夢のエピローグ5
「……俺もまあ、知りたくないと言えば嘘になるしね。どうなるかわからないけど、このまま続けるよ」
「よし。決定だな」
三人の答えに、レオはどこか満足した様子でうなずいた。その表情は笑顔。不安の色は全くない。
「うまいことやれば敵に回すことなく事が済むかもしれないしな。俺も全力でお前たちを支えるから、安心して任務にあたってくれていいからな!」
「レオさん、もしかして最初からそのつもりで……」
「お前たちは優秀な俺の仲間だからね、その返答を期待してたんだ。大変な問題であることは確かだけど、俺としてもこのまま放っておけないしね。大丈夫、お前らならやれるさ」
レオもまた、軍を相手取る可能性があるこの状況を悲観していなかった。むしろやってやろうじゃないか、という強気の姿勢。彼が抱く希望の根拠など誰も知ることがない。だが、ハンターの指揮官である彼がしっかりと前を見据えていてくれることは、何よりも力強い後ろ盾となるだろう。
「さて、そうと決まればさっそく行動だねー。ジャルが見てきた情報だけじゃまだまだ分からないことも多いし、もっと深い情報を手に入れないと。証拠もなしに軍に喧嘩を挑んだところで、相手にされるわけもないからね。まあ、喧嘩にならないってのが一番いいんだけど」
「となると、情報収集ですか?」
「うん。ダズの言う通り。まずはこちらも情報を多く集めなきゃね。でも、どうやってやっていこうか。軍に知り合いはいるけど、さすがに軍が怪しいことやってるみたいだけどそこんとこどうなの?って聞くわけにもいかないし……」
「それなら、この前みたいに俺が軍に潜入すればいいんじゃねーの?」
「それは危険かな。ジャル、顔見られたって言ってたよね。相手が特定されてるなら軍の警戒も強まるだろうし、秘密を知られたってことで真っ先に始末すべき対象に挙がってるわけだから。君がホイホイ出て行ったら今度こそ命はないよ?」
「う……そうか。俺って実は今生命の危機?」
「かもしれないね」
今まで理解してなかった自身の状況を知り、ジャルの顔が青ざめる。
「でも、幸い。君の出身は他と違う。軍の所有するデータベースに君の情報は登録されてないはずだし、すぐに身元がばれる可能性は低いと思うよ。念のため、今後は行動を極力控える必要があるかもしれないけどね」
「そうかー、くっそ……」
「ですが、レオさん。今後の俺たちの行動は軍に反する行為であることが多くなる。当然、軍にとって不利益、排除すべき存在とみなされる。今はジャルだけですが、今後行動していく中で現在危険にさらされていない仲間も、軍の警戒対象になってしまうリスクがある。ジャルだけを狙わせるわけではないけれど、なるべくならそういったリスクを避ける必要があるのではないでしょうか。問題が問題なだけあって、難しいことだとは思います。もちろん、ハンターという存在自体を敵とみなされてしまえば元も子もないでしょうけど、それでも、そうならない為にも、リスクは最小限にするべきだ」
「そうだね。ダズの考えは正しい。なるべくなら全体を危険にさらすことは避けるべきだろう。行動はなるべく限られた人数の方がいいかもしれないね。それは本当のことだ。だけど俺は、お前たちの意志を尊重するよ。さっきも言ったけれど、実際に危険に踏み込むのはお前たちだ。やりたいというなら止めないし、やめるというならそれも構わない。どちらにせよ、俺は俺のやり方でちゃんとお前たちを守り抜くつもりだからね」
大丈夫。至って落ち着いた様子でレオはにんまりと笑い、続ける。
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