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長い夢のエピローグ2


 トラヴィスの護衛任務を終えて、ディル達三人は本部へと帰ってきた。

「あーくっそ……俺今度から二度と貴族がらみの仕事はしねえ……なんだよあのおっさんくそめんどくせえよ肥えて豚になって食われろ……」

 本拠地である城の門を抜けたところで、精根尽き果てた面持のジャルがぐったりと言葉を吐いた。

 本来ならば任務明けは多少なりの開放感を覚えるものだが、今回ばかりは疲労感が何よりも勝っていた。あの後オークションをめちゃくちゃにされたリックフォルクの苛立ちの矛先は彼らハンターに向けられ、理不尽にも散々の暴言や要求を訴えられ、「責任を取ってお前たちが私の奴隷として一生働け」と言い出した彼を説得して屋敷へ送り届けるだけでも余計な労力を費やすこととなった。

「貴族なんて嫌いだ……」

「まあまあ、その分報酬はたんまりいただけるんだから。我慢がまん」

 笑顔でジャルをなだめているダズだが、その表情は引きつったものである。おそらく、高額の報酬の対価としての労力と思い込むことで無理矢理でも自分を納得させようとしているのであろう。彼もまた、否、自ら暴言を吐かれながら、依頼人へ憤る仲間をなだめる役割を担わなければならなかった彼が一番の被害者なのかもしれない。

 そんなわけで、開放感を楽しむ余裕すらなく終わった今回の任務だが、依頼人よりもさらに大きな問題点が存在しており、それがまた緊張を解くことのできない理由でもあった。

「軍との関連、レオに伝えなければならないな」

「ああ、そうだね」

 今回見えてきたのは、軍と事件の原因であるコアを持つ生物との関連性だった。
 従来の自然原理に反する存在である生命体。それは何らかの手段によって手を加えられている可能性を示唆している。ただの研究実験の範囲としてならばまだ良いが、今回は実際に大きな被害を出している。軍に対してハンターは中立立場をとっている。利害の一致による協力はあれど、敵対を招く事態は避けたい。ゆえに軍が絡んでいるかもしれない今回の問題は非常にデリケート。此方も慎重に対応しなければならない。

「ひとりひとりが持ってる情報を共有しておくべきだろうし、報告は三人全員で行こう」

「それもそーだな」

 ダズの言葉にうなずくと、三人はレオのもとへと向かった。




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