はじまりの来訪12
「そういえば、ディーナさんたちはどうしてここに?村の人じゃないですよね?」
「ああ、そういえば話してなかったね。私たちはハンターって呼ばれてる特殊組織の一員なんだ」
「ハンター?」
初めて聞く単語に首をかしげるベルト。ハンターなんて聞いたことがない。狩人の団体だろうか。
疑問符を浮かべているベルトに微笑をかえすと、ディーナはそれに応じる。
「知らないのも無理はないか。そんなに有名じゃないし、普通の人たちと関わるような依頼は少ないからね。ハンターっていうのは、人々に害をなすものを排除するための組織なの」
「害をなすものを排除?」
何やら物騒そうな組織だ。そう思いながらも説明に耳を傾ける。
「そう。たとえばさっきみたいな猛獣とか、ね。ほかにも悪党とかいろいろあるけれど。私たちは人々からの依頼を受けて活動しているの。まあ、依頼をしてくるのはもっぱら軍だけなんだけどね。軍で対処しきれない問題の解決をしたりが主な活動かな」
「……つまり、軍人ができなかった仕事をやっちゃうってことですよね。それってかなり凄いことじゃ……」
軍といえばこの国で最も強大で確固たる力と権力をもつものである。最強の武力と知識を有する軍でさえも不可能であったことを解決してしまうということは、この国を支配することさえも可能な力をもっているということではないか。聞いてベルトは目を丸くして驚愕する。
「そういうときもあるけれど……、そんな大層なものじゃないよ!人数も多くないし、小さな組織だから。軍でやるほどのことじゃないような小さな仕事が回ってくることのほうが多いし」
ディーナは両の掌をひろげて、大げさな想像を繰り広げているベルトを制する。
「あ、そうなんですか?それじゃあ、今日は依頼があってこの森にきたってことですよね?」
少しがっかりしたような、安心したような、そんな感情を抱きつつ、ベルトは問う。
「そういうこと。この森っていうか、この先のホドリ村に用があってね。村長さんから依頼があったの」
「村長から!?」
村長と聞いてベルトは驚く。ホドリ村はベルトが住む村である。そこの村長は高齢だが、気さくで村人からの信頼も厚い。だが、都心から離れただでさえ情報の少ないこの村の人間である村長がハンターの存在を知っていたということが驚きだった。やはり村長というだけあってそれなりの情報網をもっているということか。
ひとり感心するベルトを不思議そうに見ながら、ディーナは続ける。
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