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目を覚ました獣たち3

そして、その隣でにやりと感情の読みとれない笑みを浮かべている短髪の男性。彼には見覚えこそなかったものの、身を包むその制服こそが何よりも彼を物語っていた。

「軍人……?」

胸元に輝くのは確かに軍章。自分の目を疑ったが、間違いではない。

「なんで軍人がこんなとこに……」

無法地帯の違法オークションの内部にこんなにも堂々と軍人がいるということは通常ではありえない事ではないのか。本来軍人はこれを取り締まるべき立場にあるはずだ。

――俺の知識が間違ってんのか?

先程の少女といい、ジャルの予想を上回る出来事ばかりが目の前に飛び込んでくる。彼のお世辞にも立派といえない思考回路がぐるぐると回る。
頭を抱えつつ状況を整理すると、目の前の軍人と眼鏡の男、そして猛獣は繋がりがあるということだ。軍内部と繋がっている可能性も高いかもしれない。

「いずれにせよ、やべえ情報掴んじまったかもな……」

もし本当に軍内部と繋がりがあるというのなら、これは国家レベルの問題ということになる。
ジャルの額に汗がにじむ。これ以上深追いはしない方が良いかもしれない。ここで引き返して外の二人に合流すべきか。

「――誰かいるのか?」

「!」

心臓が大きく飛び跳ねる。見つかってしまった。

――やべえ!

ジャルは弾かれるようにその場から飛び出す。おそらくまだ顔は見られてないだろう。こちらの情報を知られる前に逃げなくては。
重力操作の能力を発動し、出口方向へ向けて自信を引き付ける力を生じさせる。すると吸い込まれるようにジャルの身体は加速を始める。普通の人間であればまず追う事の出来ない速さだ。

これで撒けるはずだ。
出口まで出れば後は大丈夫だろうとジャルは安堵の表情を浮かべる。

「逃がしませんよ」

まさか、聞こえるはずのない声に全身が凍りつく。重力を味方につけた加速に、常人が追いつけるはずがない。それの思考が甘かったのだ。

ジャルの眼前に、ひとりの女性。彼女もまたザルカンタ軍の軍服に身を包んでいた。その手の中に握られた銃口が、まっすぐにこちらを向いている。

「くそっ」

引き金に添えられた指先に力が込められる。
轟音がとどろいた。



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あきゅろす。
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