SS
ブログより
今日は9月3日。この事実はどうあっても変わらない。
これに気付いたのは先程の桔梗のおかしな行動がきっかけだった―――


「葵さん、お茶が入りましたよ」
頼んだ覚えはなかったから不思議に思いながらも礼を言って一口飲む。それは甘いを通り越した甘さだった。思わず噎せると
「どうしました?」
と口では言いながらも、確信犯の笑みを浮かべた桔梗と目が合った。
「なんだよこれ甘過ぎるだろ。それに俺が何も入れないの知ってるよな?」
思わず文句を言えば、あいつは何を思ったか泣き真似を始めた。

「しくしく、しくしく」

口でそんな擬音を言われても困る。
しばらくどうしたものかと黙っていると泣き真似をしているいい大人が口をきいた。

「こういう時は泣いている理由を聞くものです。しくしく」

放っておけばいつまでもやっていそうな雰囲気に、俺はしぶしぶ訳を尋ねた。

「桔梗せんせ、どうして泣いているんですか?」「どこぞの眼鏡の理事長が原因です。しくしく」そんなことを言われても、思いあたる節はない。仕事をサボることなど日常茶飯事だ。そんなことで今更泣き(真似)はしないだろう。

「葵さんの鈍感」

考えこむ俺にそう言うと、桔梗はこちらに背を向け出ていこうとした。
引き止めようとすると振り払われ、
「昨日は、くじの日でした」
と言い残し出ていった。



これを言われてすぐは何のことだかさっぱりだったが、カレンダーを見てやっと気がついた。


「回りくどいことしやがって」

とりあえず今夜はあいつの部屋に行こうと決めた。
名目はあくまでも謝罪とお祝いをするために。




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