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Act.27




『――…痛いよぉ…』

「大丈夫雛!?」

『…っひく!…っひく!』

「もう大丈夫だよ…俺が居るから」

『う、ん…ありがとう――』







『!!』






今のは…夢?






色写真
Act.27:久しぶりです、お元気でしたか?






『……何だったんだろう、今の夢』






懐かしい感じの雰囲気…。
見たことある人…。
小さい頃の夢…。


だけど、私は…今の人が誰だか分からない






『……変なの』






この世界にトリップしてから、もう何度も見ている。
だけど、最近は毎日見ている気がする…
今日は私が泣いている夢、昨日は2人でおままごとをしている夢、一昨日は手をつないでいる夢…


リュウちゃんに聞けば、分かるかな?






『リュウちゃんー』




――シーン―




『リュウちゃんーー!!』




――シーン―




『世界一美しく世界一気高く世界一妖艶なリュウちゃんーー!!』

「……なによ?」






やっぱりコレじゃないと出てきてくれないんだね。
と言うか…かなり機嫌悪くないですか?






『リュ、リュウちゃん…?
どうしたの、機嫌悪そうだけど…』

「悪そう?!そりゃあ悪くなるわよ!!
だっていつぶりの登場だと思ってるの!?
21話ぶりよ!21話ぶり!!」






わーお…リュウちゃんカンカンですぜ
かなり怒ってますぜ


今度から頻繁に呼ぶようにしなくちゃね






「で、なによ?」

『あ!そうそう、私リュウちゃんに聞きたい事があったんだよね!!』






そして私はリュウちゃんに今まであった夢の内容や夢の事を説明した。
私の予想では、私と同じくびっくりするのかと思ってたけど、実際リュウちゃんに話すと聞いた本人は“それがどうしたのよ”と言う感じであっけらかんとした顔をしていた。






「なんだ、そんなこと?」

『なんだって…!
私にとってはかなり重要な事なんです!』

「大丈夫、そのうち分かるわよ」

『そのうちって…』

「まぁ、深く考えなくて大丈夫よ
別に悪いことじゃないんだし…

私が唯一言えることは、その夢を忘れないできちんと覚えておくことよ」

『え…?』

「それじゃあ、人が来たから私は消えるわね」






そう私に告げるとリュウちゃんは一瞬でその場から姿を消した。


夢を覚えておく…?
一体何のため「雛ちゃん!!」

『へぇ?!』






リュウちゃんが消えた直後、ドアが開き誰かが私に抱きついてきた。


だ、誰!?
そう言えば、リュウちゃんも“人か来たから”って言ってたかも…






「雛ちゃーん!!
会いたかったよ!!!!」

『え、あ…もしかして、涙さん?』

「そうよ!
あー良かった!!覚えててくれたんだね!」

『勿論!覚えてますよ』

「だって雛ちゃんも部活入ったし、私も部活でなかなか会えなかったから…
所で話は変わるけど…雛ちゃん!!」

『は、はい!!』

「ちょっと付き合って?」

『…………はい?』

「いくわよ雅治!」

「はいはい、全く人使い荒いのう…」

『ちょ、な?!
ぎょえわぁあぁあぁーーーー!!?






ここからの記憶は思い出したくありません…
と言うか思いだせません


気がつけば涙さんに着替えさせられていて、気がつけば仁王にお化粧をされて、気がつけば…






「ふう…完成☆」

『…………』






誰ですか、この鏡に写っている女の子
本当に私…?
自分で言うのもなんだけどスッゴく可愛いんですけど。






「さすが私!
この服は雛ちゃんの綺麗な手足と可愛いお団子を最大限に引き出してるわ!!
雅治もこの色合いのメイクはナイスよ!」

「当たり前じゃ」

『あ、あの…?』

「ん?なに?」

『私なんでこんな姿に…』

「ふふふ…それは秘密!
さぁ!早速出掛けましょう!!」

『へ?!』






で、出かけるって一体どこに?!


ぐいぐいと私の腕を引っ張る涙さんを見ると、素晴らしいくらい目が輝いていたので何も言い出せなかった。
そして階段を全て降り終えた瞬間――






「ちょっと待て」






私達の前に立ちはだかる影…


って言うか私のお兄ちゃん






「あら?一体何の用かしら?」

「そう言うお前こそ何してんだよ?」

「別にあんたには関係ないことでしょ?」

「確かに俺には関係ねぇけど雛が迷惑してるじゃねぇかよ
雛が関係している事は俺も関係してんだよ」

「は?あんた何様?
言っておくけど雛ちゃんはあんたの物じゃないわよ?」

「んなもん知ってるっつの
俺が雛の物なんだよ」

『…………』






うわー、火花凄い
と言うか…え?
お兄ちゃんと涙さんって…






「あー気持ち悪い!
本当に雛ちゃんは大変ね、こんな兄貴もって!」

「雅治君も翠君も大変だよなー
こんなウザくて我が儘な姉貴もって!」

「「…………(怒)」」






仲悪かったの?!
一体いつから?
と言うか、いつの間に知り合っていたの…?






「お前さんの歓迎会をやった時じゃ」

『うわぉ?!に、仁王…!
び、びっくりした…』

「もう少しで消える所じゃったきに」

『全く作者はキャラを平等に書けないんだから…じゃなくて
私の、歓迎会の時?』

「色々あってのう…
まぁ、大半の喧嘩の内容はお前さんのことじゃ
モテるやつは辛いのう?」






マジですか
それにモテるって言っても、片や血のつながった実の兄で片や女の人ですよ…?

これってモテるって言うのかな…






「まぁ、こんな事はどうでもよか
そろそろ出掛けるとするかの…」

『だから出掛けるって一体どこに…?』

「来れば分かるきに」

『え…?』






ニヤリと笑う仁王。
まるで催眠術にかかったかのように動かない私の身体。

そして私は仁王に手をとられ、なすがままに目的地の分からない何処かへと連れて行かれた…――






***






――キュッ!キュッ!!―






『連れてきたかった場所って…ここ?』

「そうじゃよ」






私が仁王に連れてこられた場所は、市民体育館だった。
しかもそこではバスケットボールの試合をやっている真っ最中らしく、体育館には歓声と独特の音が鳴り響いていた。


だけど…何でバスケの試合?
仁王に聞こうとすると私の横には仁王は居なく、周りを見渡して探すと、バスケの試合を見ている仁王を見つけた。






『仁王…?』






仁王に近づき、そっと名前を呼ぶ。
すると仁王はニヤリと微笑み、1人の選手を指差した。






『……あ』






その仁王の指差した人は、仁王と瓜二つと言うくらいそっくりな翠君だった。

翠君…バスケ部だったんだ






「今日、アイツの初試合なんじゃよ」

『そうなんだ…』

「だから姉弟で応援しにきたんじゃよ」






初対面の時は涙さんとか“弟”って呼んでたし翠君も仁王達に余所余所しかったからあまり仲良く無いのかなぁって思ってたんだけど…






『…………』






実は凄く兄弟思いな姉弟だったんだね。


うわー…ちょっと感動!
普通の兄弟だったら中学生にもなって、こんな風に見に来てくれないよね。
特に男子ならなおさら来なそうだし…


まぁ、私のお兄ちゃんは例外だけど
試合関係なく来るからなぁ、あの人「雛ちゃーーんーー!!」

『(@Д@;)ぎょえ!?』

「やっとあの野郎を撒けたわー!
あと雅!なんで勝手に雛ちゃんを連れて行くのよ!!」

「待っとったら翠の試合終わるからじゃ――ピーッ!―

ほれみてみんしゃい、終わったみたいじゃよ」

「え、本当に?!
こうしては居られないわ!
雛ちゃん行くわよ!!」

『へ!?ど、何処…にゃぎゃあぁあぁーーーー?!!』(涙目)

「全く、落ち着きのない姉貴じゃのう…」






***






『こ、ここ…バスケ、部の…控え、室です、か?』(息が整っていない)

「うん、そうよ!
と言うか…大丈夫雛ちゃん?」

『な、なんと、か…』

「大丈夫なわけ無いじゃろ
現役陸上部の全力疾走なんじゃから」

『り、陸上部…?』

「うん!私陸上部なんだ
確かに雅の言う通りかもね…
本当にごめんね雛ちゃん!!」

『大丈夫、ですよ…!』






はぁはぁ…
やっと息が整ってきた…

そっか成る程ね、だから涙さんこんなに足が速くて息切れもしてないんだ。


それにしても、凄いな仁王兄弟。
姉は陸上部、長男はテニス部、次男はバスケ部…
完璧なスポーツ家系なんだね!
ここまで来るとやっぱり両親もスポーツ得意なのかな…?






「んー…
得意って言ったら得意だけど、私達みたいに専門で得意なスポーツは無いかなぁー」

『そうなんですか!
…………ん?






今なんか可笑しくなかった?
気のせいかな…?






「気のせいよ、気のせい!」






そっか…
涙さんが言うから気のせいだよね。
気のせいにしておこうね自分。


そう自分に言い聞かせていると、ガチャリと扉が開く音がした。
そして私達は一斉に振り返ると、吃驚した翠君。
まぁ、そりゃあ自分達の控え室に部外者…身内が居たら誰でも吃驚するよね…
翠君、いたーいほど分かるよ…!(既に経験済みらしい)





「ちょ、は?!兄貴と姉貴何してんだよ!!?」

「何って応援にしに来たに決まってるでしょ」

「まぁ、ほとんど見てないけどのう」

「…………コイツは?」






ん?コイツ…?




…………




…………ああ!私か!!






「うふふ!可愛いでしょ?
翠のためのチアガールよ!!」






そうだったんですか。
通りでスカートが短いわけだよ…






「……別にふつー」

「這( ̄∀ ̄)カチーン(怒)」






いつも思ってたけど、翠君って私に厳しいよね…?
初対面の時もズタボロ言われたし…


私何かしたのかな?






「んもー!本当に可愛くないわね!
素直に可愛いって言えないの?!」

「だって普通だし…」

「ふん、顔を真っ赤にした奴に言われたくない台詞ね」

『へ?』






顔が…?真っ赤…?


横を向いている翠君の顔を下からそっと覗く…
あ、本当だ。耳まで真っ赤






「…っ!し、仕方ねぇだろ!!
コイツスカート短すぎるんだよ!!」

『(ズッキューン)』






あー…ヤバい翠君可愛すぎ!!
え、本当に仁王の弟?!
純粋すぎるでしょ!可愛いすぎるでしょ!!(興奮)

会ったその日に(ほっぺ)ちゅーするような奴の弟とは思えないほど純☆粋
しかもツンデレ…何この萌え少年!!






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あきゅろす。
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