Act.24
「よし、今日練習はここまでだ!」
「「「「ありがとうございました!!」」」」
「(…………ふう)」
まだ5時、か…
少し練習してから帰るか…。
蒼色写真
Act.24:ちゃんと見てるよ
――ガチャッ!!―
『ねぇーねぇー!!ヒヨ知らない?』
本日の部活動も無事に終わり、勢い良く部室に入ってきた氷帝学園テニス部自称美人マネージャー櫻井雛。
いつもハイテンションな彼女であるが、今回は特にテンションが高い。
理由は二つ。
一つは珍しく早めに部活が終わったから。
そしてもう一つは、彼女が発した言葉の通り大好きな日吉を探しているからだった。
「日吉のことは知ってますけど、日吉が今何処にいるかは知りませんね(ニコッ)」
『…………』
そんな屁理屈要らないよ…
と言うか、チョタそんなキャラだっけ?
屁理屈…と言うよりオヤジギャグ?
「キャラへんです(爽笑)」
『ΣΣ( ̄△ ̄;)』
また読まれた…
しかも何故いきなりキャラへん?
私は今のチョタの方が…好きなわけでは無いんですけど、オヤジキャラよ、りは…好きかな?
まぁ、一番は原作のような先輩思いの真っ白チョタですけどね。
「へー…そうですか」
『(ゾクッ!)な、何ですか…?』
「まさか雛先輩がそんなに俺のこと思ってたなんて…」
『…………』
あのー、きちんと聞いて(読んで)いますか?
オヤジよりはですよ!
Oyaji or Haraguroならばって意味ですよ!!
一番は真っ白ですよ!!!!
……あ、駄目だあの様子は聞いてない
「そう言えばおらへんな、日吉」
「何だよ?
お前日吉に用があんのか?」
『まぁーね』
「珍Cーね、雛ちゃんが日吉に用があるなんて?」
「だよなー…用って何だよ?」
『へ?いや、ヒヨに何処で髪を切っているのか聞こうと思って』
「………はっ」
『ΣΣ( ̄□ ̄)』
とうとうガックンにまで鼻で笑われた…(泣)
跡部ならまだ分かるけど、あの純粋なガックンにまで…(かなりショックらしい)
「てめぇは正真正銘の馬鹿だな」
「本当に馬鹿が服を着て歩いてるって感じだぜ」
「何言ってんるの?!
そこが雛ちゃんの良い所じゃん!!」
「そうですよこの馬鹿な所がいじりがいあって最高なんですから!!」
『待てやコラ』
ちょ、何ですか今日は…
毒舌Dayですか?
そろいにそろって皆して!!(泣)
「そやそや、雛のよさの一つ目はその性格、二つ目はCuteな髪型、三つ目は綺麗な手足や!!」
『黙れ変態』
「確かにお前は胸なさそうだよな」
『失礼な!私は着痩せタイプのMカップだよ!!』
「そこまであったら逆に恐いだろ」
恐い…?
確かによく考えたら、Mってアルファベットの調度半分だよね…
ブラ特注しなきゃいけないじゃん!!(そこ?)
「やっぱり雛ちゃんは可愛いC〜」(心読んだ奴)
「本当ですよねー
お持ち帰りしたいぐらいですよ!」(コイツも心読んだ奴)
「せやなぁー
一家に一台在ってもええもんな!」(ただノリで喋ってる奴)
『逝け忍足』
「何でや!?」
何でって…
皆さんは分かりますよね?
ねぇ?(同意求めるな)
まぁ、要するに…
ジロちゃん可愛い=文句言えない
チョタ恐い=逆らえない
忍足変態=殴ってよし!
みたいな…?
と言うか私は物じゃありません!
何故皆、私を物にしたがる…?
静かにしてろと?(マイナス思考)(否定出来ない)
『話それた、だからヒヨはいずこ?』
「だから知らねぇって言ってんだろうが!
いい加減頭使いやがれ」
『(無視)樺地は知らない?』
「……ウス、ウス」
『マジで!?
ありがとう樺地!!』
「ウス!」
「なんで分かるんだよ」
え?
インサイトかな?(待て)
『よし!
ヒヨの場所も分かったし衝突しに行ってくるかな!!』
「衝突してどないするねん」
『……追突か!!』
「変わんねぇよ」
んー?じゃあ、激突か!!
「それも変わんないC〜」
『…………(汗)』
私、何を言いたかったんだっけ?
「……1回病院行け」
『酷っ!』
酷っ!ガックン酷っ!
心読んだ上にナチュラルに酷っ!!
『……では、また明日ジロちゃんとガックンだけ会おうね!!』
「俺もですよね?(黒笑)」
『では、また明日ジロちゃんとガックンとチョタだけ会おうね!!(泣)』
全身力で逃走。
後ろから「雛ちゃんー苺のパンツ見えてるよ〜」っとジロちゃんの声が聞こえたのは別に良いけど…(良くねぇだろう)
「目が潰れる」とほざいた跡部に本気で殺意が沸いた
失礼にもほどがあるでしょ!!(怒)
***
――パコーンッ!パコッ!!―
「…………クソッ!」
毎日練習しているけど全然だな…。
このままじゃいつまでたっても先輩達に下剋上出来ない…
「…………ふう。
少し休憩するか…」
鞄を置いてある方に行き、水分補給をしながら汗を拭いていると横から感じたホラーとも言える異様なオーラ…。
恐る恐る横を振り向くと…
『ジーー…│壁|∩・)』
何か居る…
あぁ、雛先輩か…(扱い酷い)
「……何やってんですか雛先輩」
『ヒヨ!?何で分かったの?!
つか、この光景見たことあるんだけど!
あれか!デジャブか!!』
「安易に想像出来るのが悲しいです」
多分、向日さんあたりだろうな(大正解)
「ところで…
なんで雛先輩此処に居るんですか?」
『実はヒヨに用があったんだけどさ…
偉いね!ヒヨ!!』
「……何ですかいきなり?」
『だってさ、もう皆は練習終えて休んでるのにヒヨはまだ練習してるから』
「それは…
俺はまだ弱いからです…」
そう…
俺は弱い…。
それは初めて跡部さんと戦って改めて分かった…
跡部さんだけじゃない。
忍足さんも宍戸さんも向日さんも慈郎さんも……
皆俺より全然上手い… 。
「嫌なんですよ…
年齢で差がつくのが…」
だから…
「だから練習してたんです…
いつか先輩達を越えるように」
俺が全て言い終わり一つ呼吸をして雛先輩を見ると何故か…
輝いていた。
「どうしたんですか雛先輩、物凄く気持ち悪いんですけど」
本当に気持ち悪い。
今、俺が言った暴言にも無反応だし…
此処までいくと気持ち悪いを通り越して…
気味が悪い…(酷い)
「……どうしたんですか?」
『ヒヨ!私今かなり感動してるよ!!』
「…………」
見れば分かります
俺は何で雛先輩が感動してるかが気になるんですけど…。
「……何でですか?」
『だってさ!
普通の人だったら“年齢が上なんだから勝てる分けないじゃんヘッヘー”とか思うのに、ヒヨは一生懸命跡部達に追い付こうとしてるじゃん!!
凄いよ!!』
「…………別に凄く無いですよ
ただ俺は弱いだけです」
『…………弱くなんか無いよ』
「…………え?」
『ヒヨは弱くなんか無いよ…
そもそも自分で弱いって言う人は弱く無いと思うし…なにより
こんなに努力してるじゃない』
「…………」
『少なくともヒヨが自分で弱いと思っていても、私は弱く無いと思うよ』
「…………」
『……何か辛気臭くなっちゃったね!
ちょっとドリンク持って来るね!!』
「…………雛先輩」
『ん、何?』
「ありがとうございます。」
ありがとうございます。
本当に…
『どういたしまして(ニコッ)
そうだ!今日一緒に帰ろう!!』
「お断りします」
『うぇ!?
此処はOKしようよ!』
「それとこれとは話が別です」
『えー…』
「……ふ」
そして俺は不服な顔をした雛先輩を見て少しだけ、笑った。
Act.24:ちゃんと見てるよEND
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