Act.1
あー、ヤバい…
何がヤバいって?
いや、それを説明出来ないくらいヤバい。
本当にヤバい。
かなりヤバい。
死ぬほどヤバい。
なら死ねって?
いや、私は生き延びてみせますよ!
まぁ、とにかくヤバい。
蒼色写真
Act.1:物を大切にしましょう
『なにコレーー!!』
萌える…半端なく萌える!!
最高テニプリ!最高40.5巻!!
私が読んでいるのは、知っている人は知っているであろう…
テ ニ ス の 王 子 様 !
『ヤバいね!本当に萌える!!』
特に40.5巻の内容はかなりドンピシャ!
先生もオタク…いや、腐女子心を分かってるね!!
なにこの素晴らしすぎる設定!
行きたいデートスポットも載ってるし!
グフフ…
グヘヘヘヘ…
ニョホホホホホホホホ!!
コレだけでもご飯三杯は余裕ですね!
全部トータルしたらご飯何杯だろう…?
まぁ、計算するの面倒だから良いや!
「雛、雛!」
『ん?どうしたの?』
「前!前!!」
『前…?』
友達に言われ前を向くと、デーンという効果音がぴったしな感じに先生が立っていた。
『はろー』
「よう櫻井
だけど残念ながら今は古典の時間だぞ?」
『ぼ、ぼんじゅーる』
「だから古典だ!」
古典で挨拶ってどうだっけ?
アニョハセヨー?
ニーハオ?
ナマステ?
アニョハセヨで良いや(違っ)
『アニョ「もう良い。お前は一体何してたんだ?」
『漫画で悶えていました』
「素直だな。
確かに先生は素直な奴は好きだぞ?」
わーい、先生に好きって言われちゃった!
けど、ちっとも萌えないや。(失礼)
「だけど今は古典の時間だぞ?」
『先生知っていますか?
女を亡くすと書くと妄想の妄になるんですよ?』
「だからどうした」
むー…
自分なりに結構自信作だったのになー。
まぁ、ぶっちゃけ話逸らしたかっただけだけど。
「……放課後、お前罰当番な」
『えぇーー!?なんで!』
「なんでじゃない!いいな?」
『…………はい』
せっかく今日は家に誰もいなくて優雅に過ごすつもりだったのに…!!
それから、真面目に授業を受けているふりをしながら妄想して一日を過ごした。
放課後になり、私は先生に指定された校舎裏のひたすら落ち葉が落ちてくる場所を、一人で妄想しながら掃いていた。(また妄想…)
『うーん…
やっぱりドンダえもんは一家に一台欲しいよね!』
ドンダえもんとは、知らない人はいない日本を代表するアニメ。
未来からきた犬型ロボットの狐にそっくりなドンダえもんが、いつも泣き虫なのり太を未来の不思議な道具で助けるお話。
ちなみに虐めっ子のジャリンアとスネネや、アイドルの煩など個性豊かなキャラクターでいっぱい!
そんな個性豊かなアニメのドンダえもんだけど、ドンダえもんはのり太の我が儘も軽く流して本当に色んな道具を出してくれる!
例えば、私が「テニプリの世界でマネージャーになってモテモテになりたい!」と言えばその通りにしてくれる“もしかしたら…BOX”とか!!
『本当に…
現実に起これば良いのに』
“はぁ”とため息を一つし、集めた落ち葉をゴミ袋に詰め、私はゴミ捨て場に向かう事にした。
ゴミ捨て場に着き、集めたゴミをポーンと投げ捨て、掃除を終えた事を先生に報告しに行こうとしたその時…
『ん…?』
一冊の本を見つけた。
……なんだこれ?
少し埃で薄汚れていたが、ついている埃を叩き落としてみると、新品同様に綺麗な本だった。
『勿体ないなー…』
漫画も大好きだけど、普通の小説もそこそこ好きな私にとって本を捨てるなんてもってのほか!!
(夢小説も小説だしね!)
『よし!持って帰ろう!!』
持ち主が後からきても知らないもんねー
私が拾ったもん!
…………まぁ、かなり大事な物なら返すけどさ。
だけど周りを見渡しても、持ち主らしき人がいないことを確信した私はその本を家に持ち帰ることにした。
あ、でも一応、掃除を終えた報告のついでに先生に言っておこう。
***
『先生ー掃除終わったよー』
「おう、ご苦労さん!
もう帰って良いぞ」
『はいー
あ、先生!ゴミ捨て場で本拾ったんだけど貰って良い?』
「おう、良いぞー」
あっさり承諾。
良いんですか先生!?
んじゃ、先生の許可も貰ったことだし、これで心置きなく持ち帰れるね!
いそいそと職員室を後にした私は、本の読みたさ故に家までの道のりをぶっ通しで走りながら帰った。
と言っても徒歩五分だけど…。
『んふふー♪本、本ーー!』
家に着くなり、私は拾った本に手をかけ、中身を見ようパラリと捲ると…
『ん?』
白紙!白紙!!白紙!!!
なーんにも書いて無し!!
『なんだこりゃ!』
本じゃなかったんだ…。
……なら絵を書こう。
こんな事で一々落ち込んでられないしね!
一新転換も大事だし!
そして私は、ふふふーんと軽く鼻歌を歌いながらシャープペンシルを持ち、一ページ目を開いた。
しかし、一ページ目をよく見ると何か文字のようなものが書いてあった。
『え!?なに…こ、れ?』
文字を急いで読んでみる…。
が、英語で書かれておりさっぱり分からなかった。
『……ま、いっか!絵書こ!!』
「ちょ、待つんじゃ!!」
『ん…?』
何処からか聞こえてきた声…。
周りを見渡してみたが声の本人らしき人物は見つからない。
『今、家には誰も居ないはずなのに…』
そうなると残るのは目の前にある、落書きノート…になりかけの本。
『ま、まさかね…?』
本が喋るなんて…
そんな不思議なことがあるわけ「あるんじゃな」
あるんですか。
『え!?なに!あんた何者!?』
恐い恐い!!
私幽霊とかお化けとか本当に無理なんだって!
「わしか?わしの名は…」
そう言うと本から白い煙が出てき、人影のようなものが現れた。
そして、その煙から出てきたのは…
「わしは本の精のブックーマンじゃ」
『なんだその名前』
「略してリュウちゃんじゃ」
『りゃ、え。略!?』
略してないって!
つか、略の以前に一文字も当てはまってないよ!!
中から出てきたのは、男にも女にもとれる中性的な顔立ちの人…。
つか、え。どっちだ?!
『りゅ、リュウ…ちゃん?』
「そうじゃ…
あ、ちょっと待て…
ゴホン……な。ゲホン……り
良し!」
『………?』
一体なにが良しなんだろう?
その私の疑問はこの後直ぐに分かった。
でも、出来れば分かりたくなかった…。
「口調戻すね♪
では、改めまして!私の名前はブックーマン、略してリュウちゃん!!
性別は……ひ み つ !」
『………………』
恐いです、お化けより恐いです。
だけど分かった事がある。
リュウちゃんの性別は男だ…。
だって、「性別は」の部分が半端なく声のトーン低かったもん!!(泣)
『あの…リュウちゃんはオカ「んふふ、めった切るわよ?」
『ごめんなさい』
性別の点は口出ししてはいけないみたいです…。
そしてめった切るって…
恐すぎる…。
「私を拾ってくれてありがとん♪」
『い、いえ…』
「最近は直ぐに本捨てる人ばっかで困ってたのよ〜」
『は、はぁ…』
「拾ってくれたお礼にアナタの願い、叶えてあ・げ・る」
『へ、へぇ…へぇ!?願いですか?!』
「そうよん!願い♪
そうねぇ〜
アナタの願いは…テニスの王子様の世界にトリップで良いかしらん?」
『ト、はい!!!!』
トリップってマジですかーーーー!!!!
え、本当に良いの!?
本拾っただけでこんな良い思いしちゃって!!
「んふふ!別に良いわよ!」
リュウちゃん綺麗!リュウちゃん美人!リュウちゃん最高ーー!!!!
「あ、そうだ!
今気分良いからついでに素敵な設定も用意してあげる♪」
『本当に!!
そ、それは一体どんな!?』
「んー…
それはトリップしてからのお楽しみということで!」
ひゃー!どんな設定!?
まさかモテモテとか…!
テンション上がるーーーー!!!!
「あと詳しくは…
今話すの面倒だから後で言うわね♪」
『へ?』
「ではでは!楽しんできてね」
リュウちゃんがそう言った瞬間、私の足元は崩れていき…
え、落下?!
『ちょ、ま!
んぎゃあぁあぁあぁあぁーーーーーー!!!!』
リュウちゃん…
トリップは嬉しいけど、展開早すぎです。
Act.1:物を大切にしましょうEND
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