Act.21
「――……と言うわけで櫻井、放課後音楽室に来なさい」
『はい…』
蒼色写真
Act.21:デキ婚はなるべく止めましょうね
「……おい宍戸、あの馬鹿はまたサボリか?」
「あ、いや今回は違うぜ
何でも音楽のテスト追試験だってよ」
「追試験?
最近なんか試験なんかあったか?」
「ああ、あいつの場合は――」
『……はぁ、追試験か』
私は音楽室に近付いて行くにつれて重くなる足を引きずる気分で廊下を歩いていた。
だって、だって…
追試験の内容がさー…
「リコーダーの音階」
「…………は?」
「だからリコーダーの音階だってよ
あいつ歌はまぁまぁ上手い方だと思うけど、リコーダーが激下手なんだよ」
「マジ…?」
「マジ…
本人はソを吹いているらしくても、リコーダーでは絶対有り得ない音出しやがるんだよ」
コウモリの超音波みたいな?
耳が痛くて、その時間雛はリコーダー吹くなって監督に言われたぐらいだしな…
『リコーダーの音階なんて…
基礎中の基礎じゃん!!』
多分、今頃宍戸が私の遅れる理由を跡部に話していると思うし…
あーあ…
絶対跡部高笑いしているに違いない。
♪〜♪♪〜
『ん?』
私が音楽室のすぐそばまで近付くと、中から聞いたことのある音楽…
ピアノの曲…
えっと、何だったかなこの曲
昔見てたドラマで良い曲だなー…って思っていたことは覚えてるんだけど。
音楽室の前まで来ると、その音楽の音色がはっきりと聞こえた。
恐る恐る音楽室の扉を開けて、私は中で誰が弾いているのかを確認した。
中に居た人は私が想像もしなかった…――
「そう言えばあいつはどうしたんだ?」
「ああ、…く……監督に呼ばれ、て…遅くなるらしいぜ…っ!…」
「……跡部笑いすぎだろ」
激ダサだな…
ん?待てよ…
監督に呼ばれたって事はあいつは音楽室に行ったって事だろ?
「まさか、ばったりとかになってるとか…」
そしたら雛、完璧に固まるな。
あいつ長太郎のこと苦手みてぇだし…
『(チョタ?!)』
え、ちょ、マジですか?!!
チョタってピアノ弾けたっけ!?
あーもう!テニプリ知識が無くなったから分かんないじゃん!!(泣)
リュウちゃんの馬鹿!!!!
逃げよう…
バレていない今のうちに…
♪〜♪♪〜〜
でも…凄く綺麗。
普段のチョタからは予想もつかないぐらい
しかも、凄く真剣で…
――キュン―
ちょっとときめいてしまったよ。
や、やっぱりギャップは駄目だ!
最高のオカズだ!ご飯十杯いけます!!(涙目)
♪〜♪…
『(あ、終わった)』
「……どうしたんですか雛先輩?」
『!?』
ば、ばばばばバレてましたか…?
い、いや!だけどチョタは一度も後ろは向いていない。
私が来たなんか分かるはずない…
「分かりますよ、オーラで」
『(ええー)』
オーラって!
普通なら有り得ない台詞なんですけど。
『え、えっと…私は監督に呼ばれて
ち、チョタは…?』
「俺もです
まさかこんな所で雛先輩に会えるなんて思っても居なかったので嬉しいですよ、凄く(ニコッ)」
『………っ!…』
よくチョタは恥ずかしくもなくこんな臭い台詞言えるのかな…
う、嬉しいけど恥ずかしいよ…
…………と言うか
『ち、チョタ?!』
「はい?」
『はい?じゃなくて、手!手離してよ!!(泣)』
気がつけばチョタの大きい腕は私の腰にまわっていた。
と言うか、私いつの間にこんなチョタの近くに居たんだっけ?!
全然気がつかなかったんですけど!!(泣)
「あ、最近時間を止める技も出来るようになったんですよ(ニコッ)」
『はぃいぃ?!!』
「まぁ、冗談ですけど(^^)」
『…………』
普通なら“当たり前じゃん!そんなこと出来る人居る訳ないよ!!”って笑い飛ばせるんだけど…
あれ、可笑しいなチョタなら出来る気がしてならないのですが
「雛先輩…」
『な、何…?』
うー!!
こんな所他の人…と言うか太郎に見られたらどうしよう!
いや、別に太郎はどうでもいいんだけど、そういう関係って思われるのが嫌だなぁ(TT)
「俺の子供産みませんか?」
『…………はい?』
ちょーっと話ぶっ飛びすぎじゃないですかね?
子供…?
あんた何をおっしゃってるんですか!!!!
「雛先輩は女の子と男の子、どっちが良いですか?
俺的には女の子ですかね…
雛先輩を取り合うことになりそうですし」
『…………』
「だけど女の子だったら、絶対にお嫁さんに出したくないなぁー…
雛先輩に似て凄く可愛い子に違いないですし(ニコッ)」
『…………』
「ま、雛先輩と俺の子供ならどっちも可愛いと思いますけどね!」
『…………』
「雛先輩はどっちが良いですか?(黒笑)」
『…………(泣)』
前言撤回します。
太郎早く来て(泣)
じゃないと、私今でも妊娠させられそうです。
Act.21:デキ婚はなるべく止めましょうねEND
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