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Act.20




「…す、好きです!」

「…………」

「…わ…私と、付き合って下さい!!」

「悪い…
俺今、テニス以外興味無いんだ…」

「……そっか…
でも私諦めないから、ね!」

「………は?」

「それじゃあね!向日君!!」

『(……見ていけないものを見てしまった!)』

「……はぁ…」






色写真
Act.20:座敷わらしとナマハゲ






今日部活に行く途中で女子に呼ばれ一応想像してたが、予想通り告白された。
最初は、「結構可愛いから付き合おうかな〜」とか思っていたんだけど…


校舎の影に隠れている雛を見つけたので止めといた。
いや、別に雛を見つけたぐらいでは振るつもりはなかったんだけどよ…
むっちゃ恐い目でその女子(俺もか)を見つめていたので止めといた…


なんつーか熊を殺せるんじゃねぇかってぐらい睨めつけてた。
(いや、あれなら悪魔も子分にできるな…)






「おい、雛。出てこいよ」

『なんで私が居るのが分かったの!?』






なんでって…
そんなにオーラ出してれば流石に俺でも気付くつーの






「って言うか、何でそこに居るんだよ?」

『私の質問はスルー!?』






答えたぜ心の中でな






『うんとね、仕事をしているふりしてたら跡部にばれて殴られそうになったからダッシュで逃げたらちょうどガックンが居て告白されていた現場に直撃したみたいな?

「聞くな」






こいつと跡部のケンカの光景が目に浮かぶぜ…


雛は本当に変な女。
多分俺が今まで出会った中で一位二位を争う変人。
俺らの事を好き好き言っときながらマネージャーはやりたくねぇって言うし…(普通ファンなら喜んで入るよな)
かと言って媚びったり、マネ業とかもサボんねぇし。






『――…にしても、びっくりしたな』

「何がだよ?」

『まさかガックンに告白する子がいるなんて』

「失礼だな」






雛のくせにクソクソ!!
確かに俺は跡部や侑士に比べたらかなり下だけどよ…!!






「でも雛よりは断然多いと思うぜ」

『ガックンも充分失礼だよ』






そうか?別に普通じゃん
だって本当の事だし。





『そうだガックン!
私と愛の旅に出ない?

「さてと、部活行くかなー」

『うん、嘘。冗談。だから無視しないで話聞いて下さい

「んで、何だよ?
くだらなかったら跡部にチクるからな!」

『それだけは本当に止めて下さい』






す、スゲー…
こいつ顔がかなり必死だ(本当に失礼)
余程跡部が嫌いなんだな…
まぁ、初対面でアレなら…キツいかもな。






「んで、何だよ?」

『ふふふ…題して!“奥さん良いじゃありませんか、止めて新聞屋さん”!!』

「いや、意味わかんねぇから」






何だその題名
それより、何で新聞屋さん…?
普通会社の上司とか同僚とかお隣さんだろ!?
新聞屋さんなんて接点少ねぇじゃん!(そういう問題ではない)






『まぁ、冗談は此処までにして…ガックン!!』

「な、何だよ?」

『ガックン…




ゲーセン行こう

「…………はぁ!?」

『しーー!!
跡部に聞こえる!!
良いから行こう!』

「お前何言ってんだよ!
これから部活『つべこべ言わないで行くよ!!』

「ちょ!?離せよ!!」

『問答無用!!行こう!』

「ギャアアァァーー!!」






そして俺は雛に襟元を掴まれて引きずられてゲーセンに向かって行った…






***






『イェーイ!着きました!!
ゲームセンター略してゲーセン!』

「何だよそのポケッ○モンスター略してポケ○ン的なノリは

『まぁまぁ、気にしない気にしない!!
よし!やっぱり最初はモグラ叩きだよね!!』

「何でだよ」

『良いから、さぁれっつごー!!』

「ちょ、雛いい加減襟元掴むの止めろ!!






苦しいっつの!!
つか、英語の発音わりぃな!






**モグラ叩き中**
(此処からは音声のみでお楽しみ下さい。)






『私が恐いのかモグラよ!!
隠れてないでさっさと出てこい!

無茶言うなよ!!
って、雛!
お前の方かなりモグラ出てきたぜ!!」

『ギャアーー!!かなり出てきた!!
何?いじめ?襲撃?モグラの逆襲?

「お前ふざけてないで叩けよクソクソ!!
って!?俺の方もかなり出てきやがったぜ!!」

『ギャアーー!!死ねモグラ!!』






――タラララララ〜…―






『はぁ〜…
やっと終わった〜…‥』

「お!得点出てきたぜ!!
えっと…200点!?(200点中)」

『スゴッ!!満点ですか!?
あ、何か出てきた。何々〜…』






“壊れるのでもう来ないで下さい”






『「何じゃそりゃ」』






**UFOキャッチャー中**






『ちょ、ガックンにそっくりな人形があるよ!!
取って取って!』

「ん?どれだよ…って全然似てねぇよ!!」

『何言ってんのさ!
超似てるじゃん!!!
特にこの赤い髪とか丸い顔とかさ!!

「赤い髪とか丸い顔って言ってるけどよコレMr.FUL○SWINGの鹿目じゃねぇか!!

『ちぇ〜…
あ、じゃあ忍足のお土産にプリ○ュアは?』

「……………




それ良いな!!
よし!雛金よこせ!!」

『私が出すの!?』

「当たり前だろ!
“言い出した奴=金を出す”授業で習っただろ!!」

『え!?習ったっけ?!(習ってません)
ちくしょうー…はい、100円…‥』

「足りねぇよ」

『…………は?』

「これ1ゲーム200円だから100円たりねぇよ!!
ちゃんと払えよ言い出しっぺ!

忍足のバカヤローー!!
無駄に高いもの欲しがんないでよ!!
(欲しいとは言ってない)




はい、もう100円…』

「サンキュー☆」

『でも、失敗しないでよね!
一発で取っ「ヤベッ!失敗した!!
雛もう200円!!」

『話聞いてよ!!(泣)』






それから14回目にやっと取れて、雛は「金が〜…」って嘆いてた!
まぁ、いきなり2800円も無くなったんだししょうがねぇか(笑)←(笑い事じゃない)
しかも、たかが侑士のお土産だし






***






『よし!
後はプリクラを撮るだけだね!!
という訳で、ガックンお金払って!』

「は!?まだやるのかよ!
ていうか、さっき言ったじゃねぇか“言い出した奴=金を出す”って!!」

『うん、言ったけどねリアルに私後97円しかないの、97円しか

「ッチ、わかったよ!
んじゃ撮るか!!」

『…………ガックン。楽しい?』

「んぁ?まぁ楽しいぜ!
俺ゲーム好きだしな!!いきなりどうしたんだよ?」

『ん?いや別に…
ただ、ガックン今日告白してきた女の子のこと振ってから少し元気ないと思ってさ!』






こいつ、雛は気付いてたんだ。
今日俺が振ったのを気にしていること…
見た目鈍そうなのにこういうことはすぐに気がつくんだな…






『まぁ、楽しいなら良いや!!
あ、あのプリ機でプリ撮ろう!』

「おう!!」






本当に変なやつ。
急に俺らの前に表れて、直ぐに俺らの気持ちを分かってくれるなんて…


こんな変な奴、今まで出会ったことねぇよ。






**落書き中**






『きゃはは!!
このガックンヤバイ!まるで座敷わらしだね!!

「何だよ!クソクソ!!
お前こそまるでナマハゲじゃねぇか

『う、うるさい!!
って!ナマハゲって書くなー!!』

「ヘヘ!
こういうもんはやったもん勝ちなんだよ!!」

『(「ヘヘ!」って、可愛すぎ!!)
って、あ!ガックン、ガックン!!』

「何だよ、いきなり?」

『ちょ、この画像キスしてるように見えるんだけど!!』

「は!?キス!!」






“ほら!”と言って雛が見せてきたプリ画像では見た目では確かにキスしているように見えた。
しかも俺が雛にしているように






「これってもしかして、俺が跳んでたら着地に失敗してよろけた時のか…?」(一体何をしていたんだ)

『多分その時だと思う…
よし!“ラブラブカップル”って書こう!!』

「意味分かんねぇーよ!!って書くな!!」

『テヘ!書いちゃった!!』

「『テヘ!』とか可愛くねぇんだよ!!
とにかく消ピー!タイムオーバー!!まじかよ!?」






そして、すべてが終了し出てきたのは座敷わらしやナマハゲやラブラブカップルと書かれている奇妙なプリクラだった…


なんだこの屈辱感。
さらに言えば、怒りも芽生えてきたんだけど






「……はぁ、お前どうするだよこのプリクラ。
恥ずかしくて見せらんないぜ…」

『じゃあさ!
実際に本当にしちゃえ「寝言は寝てから言え」

『酷くないですか…』






そして俺がため息をついていると、いきなり強い風がふき奇妙なプリクラはひらりと空に飛ばされてしまった…






『「あぁーー!!」』

『ヤバい!
ガックン早く追い掛けるよ!!』

「んなことわかってるつの!
クソクソ、待ちやがれ!!」






あの後、俺と雛はかなり一生懸命追い掛けた。
多分、部活をやってる時よりも一生懸命だった
だけど、風に飛ばされたプリクラは結局何処にあるか分からず見付からなかった…






『はぁ…
結局見付からなかったね…』

「……はぁ
あぁ、そうだな…」

『どうしたの?
プリクラ見付からなかったがそんなにショックなの?』

「……あぁあんな恥ずかしいプリクラを氷帝の奴らに見付かると思うと……はぁ」

最後の最後まで失礼だね
でも、此処から氷帝まで結構距離あるから大丈夫だって!!』

「だ、だよな!!
かなり距離あるし大丈夫だよな!!」

『そうだよ!
もっと楽天的にいかなきゃ!!』

「そうだよな!
楽天的に楽天的にっと!
よし!もう大丈夫だ!!
あ、俺こっちだから!またな雛!!」

『うん!またね、ガックン!!』






帰り道の違う俺達はゲーセンの直ぐで別れた。


っつか…、はぁ…
マジであんなプリクラ見られたら…




…………ん?






「そう言えば俺、最初違う理由で悩んでたんだよな?」






忘れてたぜ…






「雛の、お陰かもな…」






そして俺は夕暮れに染まる道の中、一人笑いながら口笛を吹き、家までの道のりをゆっくりと歩いていった――






***
(次の日の部活)






「ちょ、雛!岳人!!
コレどういうことや!?」

『は?何ですか変態の忍足さん?

「ふざけんといで、この新聞に書いておることきちっと説明しい!!」

「つか、何だよ。その新聞って?」






“コレの事や!!”っと勢いよく見せられたのは、昨日風に飛ばされ無くした俺と雛のプリクラ…をデカデカと載せた校内新聞


しかもちゅー(しているように見える)プリ






『「…………」』






――バタンッ!!―






いきなり勢いよくドアが開いたと思ったらそこにはおなじみのテニス部メンバー…






「おい!雛!!
これどういうことか説明しろ!
多分お前が向日に無理矢理やれ!って言ったんだと思うけどよ

「雛テメェ、昨日部活休んだと思ったらこんなくだらないことしてたのか!!
……覚悟は良いよな?


「本当に何してくれてんですか?
向日さん?(黒笑)

「本当だC〜…
俺だってまだ雛ちゃんとシてないのに〜(黒笑)

「雛先輩…
知ってましたが最低ですね

「…………ウス」






うわ…雛の奴、かなり皆に責められてるな。
しかも日吉に至っては前から最低って思われてたみたいだし






『ちょっと!何で私が責められてんの!?
このプリ見ればどう見てもガックンが襲ってるじゃない!!』

「はっ!お前みたいな奴を襲う奴なんてこの世には一人も居ねぇよ」

『這(`□´)!?』






俺もそう思う
って言うか、雛も災難だな…
お前の分は俺が生きてやるぜ!






「はぁ…着替えるかな…」






そう俺がボソッと言った瞬間






――ガシィィッッ!!―






両手をかなり勢いよく掴まれた






「雛先輩にこの記事のこと聞いても答えてくれないだろうと思いますしね〜…
向日先輩、きちんと答えて下さいね?(爽黒笑)

「…………は?」

「ガックン途中で逃げたり気絶したら駄目だからね〜(激黒笑)

「は!?ちょっ!!」

「「ふははは〜!!(激爽黒笑)」」

「ぎ、ぎゃあーーーー!!!!」






Act.20:座敷わらしとナマハゲEND

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