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Act.12




『居ないなー』






一枚の紙を取り出し、それを見つめる私…






『そして此処は何処だー』






色写真
Act.12:方向音痴は直りません、それは仕方がありません。







先程千雨から渡されたデジタルカメラ…
そして一枚の写真…――






『何、これ?』

「見てわかんないの?デジカメよ」

『いや…それは分かるけど』






何故デジカメ…?
しかもこれ最新のやつだ。
この前CMでやってたし!






「これから雛には最初の仕事をしてもらうわ」

『は、はい…』

「内容はこれ」






そう言って千雨が写真を見せてきた。
そして、私はその写真に目を奪われてしまった…


だって…‥




腹チラのジロちゃんなんだもん。






「コイツの寝顔をとってほしいの」

『ね、ねねね寝顔ですか?』

「そうよ…
一年の時からずーっと撮ってるにも拘わらず一回も撮れなくて、三年になって同じクラスになれたから撮れると思ったのにやっぱりとれないんですもの!!」(早口)

『は、はぁ…はぁ?!

「何よ」

『ジ…こ、この人同じクラスなの?』

「知らなかったの?
まぁ、常に寝てるか居ないかだし気づかないのも当然ね」






ええ!!?マジで?!
マジで同じクラスだったの!?

なんで気が付かなかったの私ーー!!


と言うか、このクラス萌えクラス!!?
ジロちゃんと宍戸が同じクラスって…!!


最高やんけーーーー!!!!






「まぁ、そう言うわけでよろしく頼むわね
これがアイツの出没リストだから」

『あ、ありがとう…
そう言えば、なんで写真撮れないの?』






いつも寝てるならすぐ撮れそうだけどね?




私が質問すると、千雨はわなわなと震えだし、バッと私に数枚の写真を出した。
そして私は渡されたその写真を見てみたが、全ての写真に黒い靄のようなものがかかっており、肝心のジロちゃんの顔が一切見えない状態だった。






「アイツを撮ろうとしたらいつもこうなのよ…
良い?!絶対撮ってくるのよ!!」






と、言うことで冒頭戻ります。






『えっと…
千雨によるジロちゃん出没リストは“中庭、裏庭、屋上、保健室”かぁ…
でも一先ずは此処がどこか確認しなくちゃ』






そして私が懐から取り出したのは…






『けいたいでんわぁー』






因みにこれはドンダえもんの真似です。


さてさて電話しますかね!
サ行の…‥






――ピリリリリ…ピ!―






『もしもし宍戸?』

「なんで勝手にお前の番号が登録されてんだよ」

『勿論、この前勝手……この前交換したじゃん!』

「おい、勝手つったな勝手って」






宍戸、時折女の子は背伸びしたくなるんだよ。(答えになってない)






『それはさて置き、宍戸』

勝手に置くなよ
……で、何だよ?」

『迷子になりました』

「馬鹿か」






だって氷帝広いんだもん!
廊下の横幅も余裕で人三人寝れるよ。






「はぁ…
とりあえず周りには何見えるんだよ?」

『えっと…二年C組?』

「二C?ならそこに――「雛先輩?」





冷や汗だらだらー。
どこかで聞いたことのある声…。


いや、でもヤツは私の名前なんか知るはずが無い!!




息を呑み込み、そっと後ろを振り返る…






「やっぱり雛先輩じゃないですか?(ニコ)」






やっぱり君かい長太郎君。






『………うぎゃあぁあぁあぁーーーー!!!!』






逃走。
当たり前でしょ!
魔王に適うわけないんだから!!(泣)






「雛先輩?」






と言うチョタの声も…






「おい、雛?!」






と携帯越しに聞こえる宍戸の声も右から左に抜けてゆく。
ついでに携帯を切る。(おま)


一先ず、凄まじい速さで廊下を走る事によってチョタを振り切ることに成功した。
そして、そのスピードのままで曲がり角で曲がった瞬間…――






「いでっ!!」

『んぎゃあ!!』






また人とぶつかり、尻餅をついてしまった。






「大丈夫か?」






上から差し伸べられる手。
そっと上を見ると…






『…………ぎょえぇえぇえぇーーーー!!!!』






またまた逃走。


だってダブルス居たよ、ダブルス!!
ぶつかった人ガックンで、手を差し伸べたの忍足だよ!!?


終いにはテンパるぞ!!
もうテンパって何が起こってるのかも分からないけど!






***






『はぁ…はぁ…』






疲、れた…。
息をするとヒューって言うんですけど。(危ない)






『はぁ…
と、とりあえずそこの木の下で休憩しよう…』






歩くのさえ面倒な私は、匍匐前進をしながら木の下へ行く。(そっちの方が面倒くさそう)


たどり着くなり、幹に寄りかかり目を閉じる。
木の下は風通しも良いし、お昼寝するには最高なスポットだね。


……ヤバい、寝そう。




耳を澄ますと小鳥の囀り、葉っぱが擦れる音…
そして…―






「Zzz〜…」






誰かの寝息。


…………ん?






『寝息?!』






目を凝らしてよく見る。
手で目を擦ってもう一度よく見る。


そこには…






「ぐー…かー…
もう…食えないC〜…‥」






居たぜ、ジロちゃん。






Act.12:方向音痴は直りません、それは仕方がありません。END

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