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短編
渦(+ライル)
屈辱と恐怖に濡れた銀色が俺を見上げた。

「どうして…っ、」

そういうのを愚問と言う。

「教師と生徒の恋なんていいと思ってんの?悪い子だ、だからお仕置きしたんだよ、」

ああなんて悪い子、。



同じ学校に同じ顔をした教師が二人いるなんて珍しいだろう。
その同じ顔をした教師というのが俺の双子の兄、ニールだった。

そしてニールの受け持ったクラスに、アレルヤがいた。

今、此処で、資料室で犯した、アレルヤが。

「あーあ、こんなにぐちゃぐちゃ、」

涙をボロボロ流す瞳、その目尻に口付け指で涙を拭ってやる。
半裸のアレルヤは震えた手で俺の肩を押し返すとぐすぐす泣きながら床に散らばる制服に手を伸ばした。

「待てよアレルヤ、まだ話は終わってないぜ、」

別に、アレルヤのことはお気に入りだったわけでもましてや好きだったわけでもない。
普通の生徒、みんなと同じ、普通の。
少し背が高くて少し成績が良くて少し控えめの性格で、それだけの。
特に強い印象もなかった。

ある日の放課後、生徒もほとんど帰った夕暮れの教室、俺は目を疑うものを見た。

兄さんとアレルヤが、キスを、していた。

うそ、
え、え、
まじか、

ぐるぐる混乱する頭で見たものはそれはもう衝撃的で、だが次の瞬間その衝撃も一瞬忘れた。
兄さんを見つめるアレルヤの表情、あんな穏やかに笑ったところ、俺は今まで見たことがなかった。
夕日に照らされて、なんだか芸術のようにも見えた。
は、と我に返り慌ててその場を離れる。

兄さんがゲイだったとかアレルヤがゲイだったとか二人がデキてたとか教師と生徒だとか衝撃過ぎてもう何からつっこめばいいのかわからない、
でもあのアレルヤが頭から離れなくなって。
あんな顔もするのか、と。

しかし兄さんにそんな趣味があったなんて、これからどんな顔で会えばいいのか。

それから俺は無意識のうちにアレルヤを目で追うようになり、アレルヤの視線を辿ればそこにはいつも兄さんがいた。
俺の授業の時はつまらなそうな無表情で授業が終わるとさっさと教科書をしまって席を立つ、その態度が何だか少し苛立った。
俺が今まで何とも思っていなかったのと同じようにアレルヤも俺のことは何とも思っていないのだ、当たり前だ、俺は兄さんじゃない。
こんな態度はいつものことだ、けれど意識してしまえばこうも気になってしまうとは。

決定的だったのはアレルヤの肩に触れた時、咄嗟に振り払われたことだった。
反射的に行ってしまったことだったようでアレルヤもその後すぐに謝ってきたが、俺はその時アレルヤに罰を与えなければ、単純ながらにそう思ったのだ、
それが今に至る。

「…せん、せえ、離…っ」
「俺は教師だぜ、逆らうのかよ、」
「もう無理…っあ…!」
「無理?お前の意見なんか聞いてないんだ、これはお前への罰なんだよ」
「いっ…!やあっ!」

逃げる腰を引き寄せてまだ緩い穴に突っ込むとアレルヤは声を上げた。
床に突っ伏して泣きながら壊れたようにごめんなさいと繰り返すアレルヤがおかしくて仕方ない。
これが教師のやることか。
バレたら逮捕だ。
頭では理解していても止まらなかった。
男を抱くのは当然初めてだったがこんなにいいものだとは知らなかった。

がつがつと揺さぶりその髪を掴んで顔を上げさせる。

「なあアレルヤ、兄さんと俺、どっちのがいい?」
「んあっ!いっ、やっ、ああっ…!」
「答えろよ、兄さんともやってんだろ、」
「…てっな、い…っ、」
「あ?なに、」

キスしてたから当然身体も繋いでると思ってた、

「…して、ない…っ」

アレルヤの言葉に俺は目を丸くした。
まじか、じゃあアレルヤは初めてだったのか、

「…ふ、はは、」

兄さんは真面目だな、まだ手を出してなかったなんて。

「アレルヤ、今どんな気持ちだ?」
「…っ…」
「まあ、性教育だと思えばいいさ、」
「っう、ああ、あ、」

掴んでいた手を離すとアレルヤはまた床に倒れ込むようにして突っ伏する。
身体を支えるだけの腕の力はもうないらしい。
弱い悲鳴のような声を上げ腰を打ち付けて俺は二度目の射精をアレルヤの中で終えた。

「なあアレルヤ…、」

まるで女のようにぐすぐす泣き出すアレルヤの耳元に唇を寄せる。

「このこと、兄さんに話す?」

そう言うとアレルヤがびく、と肩を跳ねさせ青ざめながら目を見開いて俺を見た。
ああ、ぞくぞくする、

「そん、な…、先生…、」
「黙っててほしい?」
「…、」
「だよなあ、じゃあまた俺と此処でしよう、」
「え…っ」

我ながらなんて馬鹿な考えだ。

「勉強だと思えばいいし練習とも思えばいいだろ、いずれ兄さんとするんだろうし」
「…」
「まあ、お前の意見なんて聞かねえけど」

学校で生徒を犯すのを楽しむなんて。
本当に悪いのは教師と生徒の恋じゃなくて生徒を犯した俺だよなあ、
アレルヤを見下ろし何処か他人事のようにそう思った。









おわり

2010 2 7




























23万打企画リク
「ニルアレ前提ライアレ→教師生徒の無理矢理」

と、いうことで…
ライルが本当に教師なのかと疑うほど最悪な野郎になってしまいました、私こんなライルしか書けません!
リクありがとうございました!

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