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短編
逃亡(♀アレ)
一瞬誰かわからなかった。
全身血まみれのハレルヤは、笑って手を差し出す。
「ほら、こいよ、逃げよう、」



政略結婚、その犠牲になったのがアレルヤだった。

俺がぶち壊してやるよ、
そう言ったのは双子の兄であり秘密の恋人のハレルヤ。
両親よりも何よりもアレルヤを大事としたハレルヤはナイフを手に動き出した。

なんて単純な考えだろう、けれど他の方法なんて思い付かなかった。

「アレルヤ、」

穏やかな声と優しい笑顔に、アレルヤは固まる。

「ハレルヤ…、」
「どうしたよ、みんな殺した、お前の結婚相手もその家族もみんなみんな、」
「ころし、た…、」
「ああ、」
「…」
「アレルヤあいしてる、」

抱き寄せられ唇が重なる。
ひどく冷たかった。

「ハレ、」
「さあ行こうアレルヤ、逃げよう、」
「っ、」
「俺はお前が他の野郎と結婚するなんざ許せねえ、親父達は泣くだろうがもうこれしか出来なかったんだ、アレルヤ、」
「ハレルヤ…、」

震える腕をゆっくりとハレルヤの背に回し、その胸に頬を寄せてアレルヤは目を閉じる。

「味方なんて誰もいねえんだ、」
「うん、…そうだね、」
「…泣いてるか、」
「泣いてない、」
「親父達にももう会えなくなるかもしれねえ、」
「…うん、」
「アレルヤ、」
「それでも、ハレルヤについてく」

元々結ばれることのない二人が今駆け落ちという選択で、結ばれる。
誰にも認められないが兄の言う通りこれしか道ははなかった、それでいい。
両親に、街に、今日胸の中でさよならをした。








おわり

2010 1 1


















元気でいてね。

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あきゅろす。
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