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短編
また出逢えたから(♀アレ)
4年間捕虜として拘束されていた屈辱の生き地獄は、かつての仲間からの救助でやっと解放された。
糞野郎共め、ただ殺すだけじゃ気が済まない。
何人かの目玉くり抜いてその口に突っ込んでやった。

時間がない早くしろ、そう言ったのはチビだった黒髪、少し見ない間に随分とでかくなっていたのには笑った。

俺の新しい機体、俺の相棒、ああよろしく。

破壊の限りを尽くし基地を跡形も無く崩壊させたところでやっと俺の気はおさまった。
他にも似たような機体がある、どうやらみんな集まっているらしい。

4年前、俺は不様にも捕まったがお前は無事に逃げたんだろう、アレルヤ、
そして俺を迎え入れてくれるんだろう、なあ、

「アレルヤは?」

懐かしい顔ぶれの中、アレルヤの姿が無い。
目をそらされ嫌な予感が俺の中に漂った。

「アレルヤは、行方不明だ」

口を開いたのは黒髪。
怒る気も失せた。

「…てめえら今まで何やってんだ、」
「4年前のあの戦い、キュリオスの機体が爆発したと同時にアレルヤとの通信が途切れた。脱出したかもしれないと思って探したが見つからなかった」
「…」

4年もの時が流れているんだ、その話が本当ならアレルヤはもう死んでいると思った方がいいのかもしれない。

「…こんなことなら死んでた方がましだったぜ、」

もう生きる意味は無くなった。
それでも艦を降りることは当然許されず、何の為に戦うのかも何の為に生きるのかもわからないままガンダムに乗った。

「おい、これには誰が乗るんだ、」

使われていない緑の機体。
昔にもこんな機体があったのを思い出す。
だがそのパイロットはもう居ない。

「それには新しいマイスターが乗ることになっている。」
「へえ、すぐに死ななきゃいいけどなあ、」

新しいマイスター、くだらない日々を送ることになる男を哀れんだ。

運命、と呼ぶならばそれは違う、悪戯が正しい。
残酷すぎる。
そんなことを思う、

「アレルヤが見つかっただと!?」
「ああ、だが…、」

神なんているのかどうかわからない。

アレルヤは生きていた。
これは最高に喜ばしいことだ。
だがアレルヤは俺を見ても無反応だった。
その隣にいた人物に驚愕する。

「…ロックオン、?!」
「その反応飽きたよ、しかしお前はなんだかエイミーに似てるな、」

黒髪が連れてきた、エイミーと呼ばれた女は確かにアレルヤだった、そして昔の仲間にそっくりな、男、

アレルヤは生きていた、しかし全ての記憶を失っていた。

どうやって地球にたどり着いたかはわからないが、記憶を失ったアレルヤは地球でこの男と出会い、この四年間共に生活していたらしい。
自分の名前すら覚えておらずエイミーなんて名前を付けられてその男に寄り添いながら不安げに俺をみていた。

目眩がした。

その状況を見た眼鏡が眉を寄せながら口を開く。

「君の本当の名はアレルヤ・ハプティズム。それに似ているのは当然だ、彼は、君の、」
「おい、」

眼鏡の言葉を遮り俺はアレルヤの前へと歩み寄る。

怯えたような瞳、ああ確かにアレルヤだ、
でもこんな瞳今まで俺に向けたことはなかった、それが別人のような気さえさせる。

「…あの、」
「すぐには思い出しちゃあくれねえか、」
「え…?」
「ようこそくだらねえ戦場へ、アレルヤ、」

アレルヤへと手を差し出し薄っぺらい笑みを作った。

お前が生きていたことで俺の目的は再び蘇る。
お前を護る、。
そしてアレルヤの記憶を取り戻す。

アレルヤはおどおどとしながらも差し出した俺の手をゆっくりと握った。

「はじめまして…、」








おわり

2009 12 26
















愛を取り戻せ!


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