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短編
毒壷
機関からトラックに乗せられ移動すること1時間。
ある古びた基地にたどり着いた。
もう使われていないらしくボロボロで誰一人居なかった。
その真っ白な部屋の中に入れられて、この中にいる人全員を殺したら出してあげるよとブスな女に言われた。
よくわからなかったがナイフだけを渡され、握りしめる。
20人くらいは居る、自分と同じ白い服を着た所謂『試作品』。
同じようにみんなナイフを持っていた。
来る前に妙な薬を飲まされていた俺はどうしようもなく身体が熱くなって苛々し始めている。
むしゃくしゃする、めちゃくちゃにしたい、ぶっこわしたい、頭の中で繰り返し、ナイフを振りかざして一人を切り裂いた。

「っ、」

目の前を血が飛び散り、裂けた肉の真っ赤な色がやけに綺麗に見える。
周りの奴らも同じように殺し合いを始めた、奇声が上がる。
よそ見をする暇なんか無かった。
ナイフが肉にずぶずぶと刺さる感触、肉の裂ける音、血の飛び出る瞬間、悲鳴、
爽快だ。
ぞくぞくする。
全員を殺した頃には俺は真っ赤に汚れてた。


「アレルヤは、」
ようやく部屋から出されると、さっきのブスがにこにこと気味悪く笑っている。
「よくできました、E-0057ならホームで寝ているわ、」
「…」

聞くところによると俺はどうやら奴らに兵器として期待されているらしい。

あれから度々また同じように部屋に閉じ込められては全員殺せと言われた。
別に殺しは嫌いじゃなかったが何度もそんなことを繰り返していると面倒になってくる。
薬の副作用も辛い。
嫌だと言ったらじゃあE-0057をお前の代わりに入れると言い出した。
そうか、アレルヤは人質か。
俺は従うしかなくなった。

「…は、」

真っ白だった部屋は真っ赤に汚れ異臭が漂っている。
血と肉が散る床はやけに滑りやすくなっていた。
そこにはいつくばった死にぞこないが俺の足に腕をのばす。

「ぐ、、」
「っ離せ、汚えな、」

その手を払いのけ蹴り飛ばすと咳込んで、それでもまだ俺を殺そうと睨み上げてくる。
うっとうしい、俺はそいつの額にナイフを突き立てた。
当然動かなくなったそいつからナイフを引き抜き、溢れ出す血を無視して辺りを見回す、部屋の隅にうずくまる奴を見つけた。
どうやらそいつが最後の一人。

「おい、」

ビク、と肩を揺らしたそいつがゆっくり顔を上げる、そいつに驚愕した。

「ハレルヤ…、」
「アレルヤ…!?」

一気に混乱した。
何故アレルヤが此処に居る、何故、何故、

「…ア、アレルヤ、」

アレルヤはその手にナイフを持っていた。
ナイフは血に濡れていた。
アレルヤも血に濡れていた。

「殺し、たのか、」
「…そうしろって、いわれたから、だから、こわかったけど、…、」
「…」
「ねえ、ぼくたち、どっちかがしななきゃならないの?」

青白い顔が泣きそうに歪む。
俺は冷静を取り戻し、深く息を吐いた。

「違う、死ぬのは俺達じゃない、」

アレルヤの手からナイフをゆっくりと取り、放り投げる。
鍵のついた扉へ向かい、俺はナイフで鍵を破壊した。
古いだけに容易だ。
扉を開けると誰も居なく、がらくたとひび割れた壁と通路。
あの女は居ない、逃げよう、

「アレルヤ、来い、」
「ハレルヤっ、」

これからは生きていくのも大変になるだろう、
だけど俺は殺しを覚えた。
ナイフさえあれば何とか生きていける。
さあアレルヤ、俺と逃げ出そう。







おわり

2009 10 23











23万打企画リク、
『ハレアレ幼少グロ』

全然グロくできませんでしたが…リクありがとうございました!


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あきゅろす。
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