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短編
永遠の愛が凍る(+ロックオン)
禁忌だとか罪だとか、血の繋がりを理由に俺が触れるのは散々拒むくせに、仲間が一人死んだ途端にお前は自分から身を寄せてきた。

お前があの男を好きだったのは知っている。
哀しみに暮れるお前を慰めてやれるのは俺だけだ、お前が俺をあの男の身代わりにしていても別にいい。
もうあの男は居ないんだからどうにでもなる。

ずっと待ち望んだお前は気が狂ってしまいそうな程気持ちが良かった。
強く抱き締め揺さ振ると熱に上せた頭に響く甘い声。

「…っ、あ、」

「アレルヤっ、」

「   」

だがお前の口から出た名前は、俺の名前じゃなかった。




果てた瞬間にぐすぐすと泣きだし、両手で顔を覆ってお前は俺に背を向けた。

「…どうして、ロックオンが、死ななきゃならないの…、」

誰に問いかけているのか小さな声で確かにお前はそう言った。
あの男が選んだ道なんだ、大人しくしていればいいものをわざわざ、

「っどうして…、」

慰めの相手は誰でも良かったのか、俺じゃなくても、

「あの野郎じゃなかったら、死ぬのは誰でも良かったのかよ、」

冷めた背中に向かけた言葉に返事は来なかった。
返事の代わりに小さく、あの男の名前を呟いて。
「…アレルヤ、」

俺は死んだのがあの男で良かったよ、お前じゃなくて良かったよ、

「俺が死んでたら、お前はそれでも良かったのか、」

あの男が生きてさえいたら死ぬ役は誰でも良いのか、

お前の言葉を待ったがそれでも何も返っては来なかった。

そうだ、結局誰でも良かったんだ、死ぬのも慰めの相手も誰でも、あの男以外なら。
俺はお前の中じゃあそんなにどうでもいい存在だったか、俺は違うのに。

「俺はお前以外の人間はどうでもいい、」

俺の顔を見ようとしないお前をそのまま後ろから抱き締めて、
返事を待つことをやめた言葉は冷めた空間に溶けていった。







おわり

2009 9 18











ロク←アレ←ハレ

報われないトライアングル


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あきゅろす。
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