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短編
新しい世界(♀アレ/+ロックオン)
あれは俺が24の時。

実家に帰ると小さな男女の双子が家に居た。
春休みの間だけ近所の子供を預かっている、と母から聞いた。
双子の両親は特に今の時期が忙しく海外へ行ったり来たりらしい。

子供は好きだったので双子の遊び相手になってやることにした。

「ねえニール、」

最初は人見知りしていた双子の妹の方、アレルヤはすっかり懐いてくれて俺にべったりだった。
なんだか昔のエイミーを思い出す。
可愛いな。
一方で双子の兄、ハレルヤはずっと俺を睨んでいて話かけても舌打ちをして無視をする。なんだこの生意気な奴は。
エイミーから聞いたがハレルヤはその歳で極度のシスコンで、アレルヤが俺に懐いたのが気に入らないらしい。

「ねえニール、ニールはすきなひといるの?」

俺の膝の上はアレルヤの特等席となっていた。
大きな銀の瞳が見上げてくる。

「好きな人か、今はいないなあ、」
「ほんと!?やったあ!じゃあぼくがニールのすきなひとになってあげる!」
「え?」
「ぼくニールだいすき!ねえ、おおきくなったらけっこんしようね!」
「あはは、そうだなあ、」
「ほんとだよ?ぜったいけっこんしようね!やくそくだからね!」
「ああ、約束な、」

子供が言うことはどうしてこんなにも可愛いんだろう、可愛過ぎて頬が緩んでしまう。
抱き着いてきたアレルヤの頭を笑いながら撫でる、そこで恐ろしい殺気を感じた。
それまでテレビを見ているふりをしながら俺を睨んでいたハレルヤが、今まさに真横に立っていた。
その顔は俺への憎しみと嫉妬が渦巻いている。
小学生の分際でそんな表情が出来るなんて将来どうなるんだ。
いや、そうじゃなくて、

「いい加減にしろよてめえ…」

ギラリと光った大きな金色。

「さっきから黙って聞いてりゃあ…アレルヤと結婚だあ!?ふざけんじゃねえよクソニール!!オッサンのくせに図々しいんだよ!!
アレルヤもひでえじゃんかよ!俺と結婚するって約束したじゃねえか!!あれは嘘だったのか!俺で遊んでたのか!俺のこと嫌いになったのかアレルヤ!」
「お、落ち着けハレルヤ!」
「ハレルヤなかないでよっ、」
「泣いてねえよ馬鹿!」

ほんとに小学生かと言いたくなるようなハレルヤの言葉に俺は驚くことしか出来なかった。
シスコンとはこれほどまでに強烈なのか。
ハレルヤの怒りはしばらく収まらず俺は何箇所か噛み付かれた。
まあ噛み付かれたがこんなものは可愛いもんだと笑って思える。
夏休み、冬休み、その時期に帰省すると双子は家にいるのが当たり前だった。
しかし2回目の春には来なかった。引っ越してしまったらしい。
寂しい気持ちはあったが仕方ない。

それが10年前の話。

今現在、34になった俺の目の前には、かつての双子、

「お帰りなさいニール!」

あれ、俺帰る家間違ったのか。

玄関で出迎えたのは、ダイナマイトボディーのグラマーな可愛子ちゃん。
その後ろには目つきも態度も悪いマッチョなヤンキー兄ちゃん。

え、ディランディ家にこんな二人いたっけ?

「何ボケッとしてんだよクソニール、」
「は…」

この生意気な呼び方は…、

「もうハレルヤ!そんな言い方だめだったら!久しぶりなのに…
ねえニール、本当に久しぶり!」

ねえニール、
この懐かしい感じは…、

「アレルヤ、ハレルヤ…か!?」
「今頃気付いたのかボケェッ!」
「ニールー!」
「っわ!」

抱き着かれ、と言うか飛び付かれ柔らかいものが腹に押し当てられた。
その先で昔以上にきつく睨んでくるハレルヤと目があった。

「ア、アレルヤ、久しぶりだなあ、ほんと、ハレルヤも、てか玄関で話すのもなんだし座って話そう、」
「ニール、ああほんとにニールなんだね、」

アレルヤは満面の笑みで俺の腕に抱き着き離れなかった。
家族の居るリビングのソファーに座り、父さんや母さん、エイミーと話をしたが何を話したのか覚えていない。
腕に当てられた柔らかいものが気になって気になって仕方なかった。

「お兄ちゃんてハレルヤアレルヤと昔仲良く遊んでたよね、久しぶりなんだし上でゆっくり話したら?」

と言ったのはエイミー。
喜ぶアレルヤと舌打ちをしたハレルヤと、俺は二階の自室へと向かった。

「ニール、昔みたいに、」
「昔?」
「僕ニールの膝の上好きだったから、ねえニール、座りたい!」
「え!?」

この子は可愛い顔して何を言い出すの!

「や、昔はお前達小さかったしっ今は流石に…」
「えー、」
「ふん、クソニールの膝よりも、俺んとこに来いアレルヤ!俺の膝はいつでもお前専用だ!」
「じゃあ僕ニールの隣!」
「おい」

ベッドに座る俺の隣に座り、先程のようにまた腕に抱き着いてアレルヤは笑う。
ハレルヤは椅子に座りながらつまらなそうに頭をかいた。

正直、信じられない。
この二人があの双子だなんで信じられない!

アレルヤなんか昔から可愛い顔をしていたがすごく綺麗になったし、何より、何より身体がとんでもない成長の仕方をしている!
何食ったらそんな巨乳になるんだ!
そんな身体で抱き着かれ実は動揺している俺。
俺だって男だ、よからぬことを考えてしまう。

ハレルヤはハレルヤで、昔は生意気な中にも可愛げがあったのに今じゃそんなもの微塵も無い!
身長も同じくらいになってるし目つきも態度も口も殺気も昔以上に酷くなっている!(おそらくシスコン度も上がっている。)

「お前達随分背が伸びたな、初め分からなかったよ、」
「ニールは昔と全然変わらないね、かっこいいまま!」
「そ、そうか?」
「ニヤけてんじゃねえよ」
「…ハレルヤは随分鍛えてるんだな、スポーツ何やってんだ?」
「ハレルヤはね、ボクシングやってて、大会で優勝もしててすっごい強いんだよ!」
「ボ…クシング…」

ボクシングと聞いて俺は恐ろしくなった。
ハレルヤを怒らせたら、昔のように噛み付くだけじゃ済まない、もしかしたら俺殺されるかも…そんな不安が過ぎり自分の寿命が縮んだような気がした。
と言うか近い将来絶対殴られる。予知。
ハレルヤは極力怒らせないようにしよう、、

「は、ははは…、…ところでお前達いくつになったんだ?」
「19歳です」
「19!?まだ19!?」
「ニールは?」
「34…」
「ジジイじゃねえか」
「ハレルヤ!そんなこと言わないで!」
「うっ…」

ハレルヤはアレルヤにかなり弱くなってしまったようだ。
しかしまだ19歳だったとは。
ハレルヤの言う通り自分はかなり歳を取ったと実感する。
軽くショックを受け肩を落とすとアレルヤの胸が更に腕に押し付けられ、アレルヤの顔が近付いてきた。

「ねえニール、昔の約束覚えてる?」
「約束?」
「ほら、結婚しようって、」
「っは!」

今その話をするのか!
ハレルヤ暴れるぞ!
ボクサーへと進化したハレルヤに殴られたら俺死ぬぞ!
ほらすごい睨んできてるし!

「ア、アレルヤ、」
「ニール今彼女いないんだよね、エイミーから聞いたんだ、…だから、」
「…だから?」

ま さ か

ぽ、と頬をほんのり赤く染め、アレルヤは俺を見上げた。

「僕をニールのお嫁さんにしてください…!」

ええええっ!!?

「ア、レル、ヤ、」

俺は今きっと間抜けな顔をしているだろう。
目の前のダイナマイトボディーな乙女の告白をどう受け取ったら…
あ、殺気、

「アレルヤ!まだそんなこと言ってんのかこの馬鹿!」
「ハ、ハレルヤはちょっと黙っててよ!」
「なっ!…コラァ!クソニール!何もかもてめえのせいだ!」
「何が!?」

胸倉を掴み上げられ、一方では腕に胸を押し付けられ、成長した双子に俺は目が回りそうだった。
10年の月日が流れたが双子は中身は全く変わっていない。

俺このままハレルヤに殺されるのかも。
アレルヤもけしからん身体になったよなあ。

また双子に振り回されることになるなんて。

ニール・ディランディ、34歳の夏。









おわり

2009 9 6











30代の男は素敵だ!
そんな兄貴が書きたかっただけ。

そろそろ嫁貰え!目の前の巨乳を!

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