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短編


目を開けると見えたのは白い天井。
視界が狭い。
左目が痛え。
手で左目に触れようとすると、何かに遮られた。包帯。
…ああ、
そうだった、

「ハレルヤ、」
声と共に部屋へ入ってきたのは俺の片割れ。
俺は顔だけをそっちへ向けてアレルヤの曇った顔を見た。
怒ってるのか、
泣きそうなのか、
どっちだ。
「…何で、僕なんか、かばったの、」
アレルヤは俯いて、静かに声を絞り出す。
言っているのは今日の戦闘でのことだった。

一瞬のスキをつかれたアレルヤを、
撃たれそうになったアレルヤを、
俺がかばったんだ。

と言ってもあの時は何も考えないで先に体が動いてた。
コックピットを狙われ飛び散った破片が左目を直撃した。
激痛と血とアレルヤの俺の名を叫ぶ声。

「…ハレルヤ、」
「何でお前が泣くんだ」
「だって、ハレルヤ、馬鹿…、」
アレルヤはボロボロ涙を零しながら俺の手を握った。
ああ泣くなよアレルヤ、
その手を握り返して。
指に口付ける。
濡れた銀色が俺を見た。
「目玉のひとつくらい無くなったって、俺はいいんだよ、」
俺はお前を泣かす為にこうなったんじゃない。
「…それが、馬鹿だよ…っ何で、僕なんか、助けなくても…っ」
馬鹿で可愛いことを言い出したアレルヤに俺は上体を起こしてゆっくり抱き寄せた。
「なあアレルヤ、俺はなあ、お前の為だったら目玉えぐられようが潰されようが、腕が無くなろうが、いいんだよ」
「ハレルヤ…、」
「お前が、無事で、良かった、」
甘い香りのする首筋に顔を埋めて、髪に指を絡めた。
本当に、無事で良かった。
「やっぱり…馬鹿だね…ハレルヤ、」
馬鹿でもいいよ、
俺はお前の為に生きてるんだ。
そしてこの左目はお前を護った証。








おわり

2009 8 30











お前の為なら命だって捨てられる。

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