短編
嘘(♀アレ/+ロックオン)
教師と生徒の禁断の、
「何を考えているんだ!」
もう何度目かわからない同じ言葉を浴びる。
何を考えているんだ、そうだ馬鹿だ、過ちだ、
生徒を、妊娠させるなんて、
学校どころか町でも大騒ぎになり俺は此処に居られなくなった。
「…先生、」
「アレルヤか…、ごめんな、こんなことになっちまって、」
「…先生、僕は先生と一緒に行きます。周りが何て言おうが関係ないです、先生、僕産みます、」
「アレルヤ…!」
その細い手を握り、駆け落ちを決意した馬鹿な二人、
「はっ…」
目を開ける。
顔を上げる。
辺りを見回す。
此処は俺の巣である保健室だ。
「…ゆ、ゆめ…」
どうやら仕事の途中でうとうとと眠ってしまったらしい。
「な、なんて恐ろしい夢だったんだ!」
夢で良かった!
「そうだよ、何もしてないのに妊娠するわけ…」
「せ・ん・せ!」
「ぬ!?」
背後から抱き着いてきた人物に心臓が飛び出そうになった。
「ア、アレルヤ!お前そうやって気配消すのやめろ!」
「先生どうしたんです?そんなにおっきい声で、」
「別に!」
のびてきた腕を解き、ふうと一人深呼吸。あんな夢のあとにアレルヤの顔を見るのは何だかもやもや。
「またサボりか?いい加減に…」
「先生に言わなきゃいけないことがあって、」
「なんだ、」
「実は僕、妊娠したんです、」
「んがっ…」
まるで金縛りのようにガチガチに動かなくなった身体でアレルヤをゆっくりと振り向く。
まさか、まさかの、
正 夢 ! ?
「先生、」
「え、あ、え!?」
ぐるぐるぐるぐる渦巻く頭の中。
視界すら真っ白になりそうな中、アレルヤはにっこりと笑った。
「なんて、冗談ですよ、」
「へ!?」
「びっくりしました?先生変な顔でしたね、」
くすくす笑うアレルヤを見下ろし俺は力が抜けて椅子にがたんと腰を下ろした。
「はあー…良かった…、」
一瞬で色んなことを考えた。
寿命が縮まったかと思った程だ。
アレルヤは変わらず笑顔のままで。
「先生、近い将来には現実になるんですから」
「……」
この年頃の女の子は恋になると物凄い積極的だ。
怖いくらいに。
「…次変な嘘ついたら保健室出入り禁止にするからな…」
「え!」
アレルヤの口から出る嘘は心臓に悪い。
おわり
2009 8 21
夢の中で種植えました。
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