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短編
貴方は彼に似ている(+ライル)
「煙草…やめたんですか?」
「ああ、」
「どうして、」
「アレルヤ煙草嫌いなんだろ?だから」
「…」

煙草は中毒、やめたくても中々やめられない人が多いのに。
ライルは簡単にやめたらしい。
僕が煙草は嫌いだから、たったそれだけの理由で。

彼のお墓参りでたまたま会った僕とライルのそんな会話。

「…じゃあ、僕はこれで、」
「アレルヤ、送るよ、」
「でも、」
「いいから、な、」
「…」

ライルは
最近、彼に似てきたと、思う。

「アレルヤ、」

僕はライルが苦手だった。だからあまり関わらないようにしていたのに、ライルは僕を好きだと言った。
でも僕は彼が好きだったし恋人だった、だからライルの気持ちなんて受け入れられない。
それは彼が死んでも変わらない。

本当にすっかり煙草はやめたらしい、車には煙草の臭いはなくなった。

ライルが彼に似ている、そう感じてきた僕は自分にショックを受けた。
だって彼とライルは顔は同じだけれど他は全然違う、性格だって、違う、全部違う、

けれど消えた煙草の臭いや、彼が死んでから少し丸くなった性格、喋り方、
似ている、気がして。

「兄さんが死んでからもう一年か、…早かったな、」
「…」
「アレルヤ、」
「…煙草、別にいいですよ、吸っても」
「、なんで?」

全く関係の無い話にライルはきょとんとした顔をして、そして顰た。

だって、似てると困る。
彼は一人しかいないのに、。

「せっかくやめたのに、」
「僕の為にやめる必要なんか…」
「煙草はやめたんだ、」

赤信号。
ブレーキをかけ、ライルは僕の方を見た。

「アレルヤに少しでも好きになってもらいたいしな、」
「…、」

そう言って笑った顔は、とても彼に似ていて。
ズキンと痛む胸。
困る、困るんです、そんな、こと、

「…僕、やっぱり、…貴方が苦手です、」

彼に似てきたライルに惹かれ始めているなんて、僕は自分が許せなかった。







おわり

2009 7 26











性格悪くないライル。
珍しい。


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あきゅろす。
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